9話 『優先すべきは』
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「 ────ん、あれ……もう朝? わたし、いつの間にか寝ちゃってたんだ………あっ」
シファが目覚めた早朝、ふと目を向けた朝日差し込む窓辺に、白銀の長髪流れる赤マントの背を向けて佇む姿があり、思わず声を上げてしまう。
「マゥスン……!? 意識が戻ったの?!」
「あ? ダレがどうしたって────なッ、いつの間に起きてやがった、赤魔!?」
「どうしたんでスかぁ……? ふあっ、マゥスンさんがお目覚めになってまス?!」
「 …………… 」
普段と変わらず黙っているが、窓辺からの朝日を背にしておもむろにシファ、ランク、ビルに振り向くマゥスン。
「熱は? 体の痛みはどう? もう起き上がって大丈夫なの?」
「 ………問題ない 」
一方的に心配してくるシファに、マゥスンはあくまで無感情に答えた。
「ホントかよ……あンだけヤバそーだったクセに、もーちょい休んでりゃいいンじゃねェか?」
話掛けづらそうなランクに次いで、ビルも気遣う。
「そ、そうでスよ、ここのお屋敷のメイドさんはいい人でスし……」
「 ────そうもいかない 」
「でもマゥスン………そんな体で、これからの旅………続けられるの?」
シファは、核心に迫って話す。
「意識がなかったあなたを除いて、わたし達……この町の東にある広場で、予言者ルカーンと賢者の人達に会って話を聞いてきたの。
ほとんど、何でも知ってそうな感じで ────4つの源のクリスタルについて一通り教えてもらって、クレセントレイクに来て急に倒れたマゥスンの症状の事まで、知ってたみたいなの。………あの人から、[呪い]を受けてたんだってね。カオス神殿での、戦いで」
「 …………… 」
表情を変えず、答えないマゥスンにいつもなら口を挟むランクだが、どこか後ろめたい。
「ねぇ……、黙ってちゃ分からないよ。あなたの口から、直接聞きたい事だってあるんだから……!」
「 ────余計な心配を掛けてしまい、すまなかった」
瞳を閉ざして謝るように云うマゥスンに、少し驚く3人。
「オマエが、謝るこたねェだろ。オレの……せいでもあるンだしな」
「 私自らの不始末による問題。……貴様は関係ない」
「関係なくねェだろッ、ガーランドの野郎倒さねーと、[呪い]の症状ってのは続くンだぜ。奴はあの時、ホントは倒されちゃいなかったンだ。"異空間"ってのに姿消しやがっただけで……! オレは、クリスタルの事より先に野郎を引きずり出して倒すからな。オマエに借り作ったまンまにゃさせねェぜ」
そう云い切るシーフのランクを、黒曜石のような艶のある瞳で見据えるマゥスン。
「 ────捜
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ