第六話
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けど何でジャージ?」
「時間がなかったから。これ最近の寝巻き。バイトで色々あって、汚れてシャワー浴びてたらサイレンが」
随分と動きやすそうな格好のアイシャが答える。
「学生服が水浸しでしたよね。そう言えば何があったんですか」
「簡単に言うと……バイト先で事件があって、その犯人を追ったら池に落ちた」
「短絡されすぎてよくわかりませんが色々あったんですね。というか楽しそうですねそれ」
三人が適当な会話をしていると、ふとそこに別の声が入ってくる。
『随分楽しそうですが、何をやっているんですかあなたたちは』
声の方を向くと小さな花びらが舞っていた。
正確には花片の形をした念威端子だ。
聞こえてくる声も前に聞いたことのある人物のものだ。
「分かりませんか。探検ですよフェリ」
『それはまた、随分と気楽なことで』
感情を探るのが難しい平坦な声では無かった。
それにはどこか疲れと呆れ、そして僅かだが焦燥が混じっていた。
「で、わざわざ来たってことは何かあったんですか?」
『……戦況が思わしくありません。既に多数の重軽傷者が出ています。私が見ている範囲でも、ちぎれた腕や足が幾つも転がっています』
「そんな、ありえません」
誇張でないことはフェリの声で分かった。
ついレイフォンは言葉を漏らしてしまう。
クラリーベルがレイフォンの肩を軽く叩き終わりを告げ、フェリに問う。
「すみませんが、今の戦況をもう少し聞いてもいいですか」
『汚染獣……幼生体は未だ千体以上残っています。小隊を中心とした迎撃部隊が外縁部に展開していますが、時間とともに損傷は増大。現状まだ外縁部で抑えられていますが時間の問題かと』
「原因は経験不足でしょうか」
『それに加え単純に物量の差かと。ある程度は数を減らせましたが疲労と損傷は蓄積し続けますので』
仮に半数を撃てていたとして、こっちの損傷も半数では割に合わない。
それまでと同じ労力を要求されるのに五割の力しかないのでは力押しで潰されるだけだ。
『小隊が受け持った区域で損傷が低いのは一番隊、五番隊、七番隊、十七番隊の三隊です。それ以外は既に迎撃といえる体ではなく、戦線の維持をしていると言ったほうが正しい状態です』
「随分と目の届いた報告をどうも。よくわかりました」
持ち主の動揺を表すように端子が小さく宙で揺れる。
「私たちの思っていたより頼りないのですね。仕方のないことですが。それで、ここへは生徒会長にでも?」
『いえ……ただ少し気になったもので』
「深く聞くつもりはないので結構。それと、ここへはどのように」
『空調といいますか、空気の入れ替えのために僅かですが隙間が。ですがその道は端子でもなければ通れませんし
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