第一章 【Re:Start】
第五話
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事も出来るはずだ。
『さっき運ばれてった奴みたいに腹に穴空けてくれるなよ』
「ああ。だが可能な限り前で止めておきたい」
『それは分かる。強いのも分かるがもっと周りも使え。一人で突っ走るとミスった時助けられねえぞ』
「これでも深入りしないよう気をつけている。それに耐えられるなら耐えねばならん」
くの字を描き迫る脚を真っ向から砕きつつニーナは言う。
援護の手を緩めぬままシャーニッドの呆れた溜息が端子から聞こえる。
『旗印が要るのは分かるが十分過ぎるだろう隊長殿』
アイクが言う。
『見る限り他の武芸者も全員、戦うだけは戦えている。とうに役目は果たしたはずだ』
極一部の例外を除き武芸科の武芸者は全員、幼生体との戦闘に出ている。
つまり一年生から六年生までいるということで、武芸者としての質も戦いに望む気概も違う。
汚染獣との交戦経験のある者など皆無だろう。だが上級生になれば成人している。背に後輩も背負っている。恐れを捩じ伏せることも出来る。
だが新入生ともなれば恐れで足が竦み動きが鈍りもする。
何より、質が低い。
基礎的な事しか習っていないと、外力系衝剄がロクに使えない者が思ったよりも多数を占めていた。
必然的に近接戦闘しか出来ない。一層、恐れは増す事となる。
だからそれを薄める役割が必要だった。
それをニーナは行った。
真っ先に化物へと踏み込み、至近の間からその手に握る武器を敵の躰へ直に叩き込んだ。
戦えるのだと。それを示した。
「わかっている。だが、未だ問題が無いなら引く理由もない」
『問題が出来てからだと遅いぞ。そこらを見ろ』
幼生体の攻撃を避けつつニーナは周囲を見る。
正確には周囲の地面、そこに転がっているものを。
人に付いていたはずの、切られた指や足や腕の一部を。
死者こそ出ていないが既に何人もの負傷者が出ていた。
そして見える欠片の数だけ、復帰できない者が生まれている。
『仲間入りするぞ』
「重々承知しているさ。深入りはしないから援護は他へ回せ。負傷者を一人でも減らしてくれ」
ここは平気だ。だから他の場所の穴を埋めてくれ。
一人でも負傷者を減らせるよう、死なせぬよう一人で背負えるだけ背負う。
そんな言葉にシャーニッドは改めて溜息をつき、アイクは馬鹿を見る目でニーナを見る。
『仕事しすぎだな』
『アイクはアイクでちったあ仕事しろ。少しは倒せよ』
『そう言われても汚染獣は専門外だ』
ニーナに動きを合わせ隙の出来た幼生体へと接近しアイクは拳を打ち込む。普段と違い拳の保護用に付けた黒鋼錬金鋼の手甲での一撃が殻に小さな罅を作る。
その傍でシャーニッドの射撃援護を受けたニーナが一撃で大
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