暁 〜小説投稿サイト〜
Ball Driver
第三話 体育会系演劇部
[2/3]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ろう。
紗理奈ならば、「では、野球一筋になる事は本当に価値のある事なのかな?」なんて突っ込んできそうだ。

「で、キミは野球部の活動がない今日は何をしているのかな?」
「あ、文化部の方を決めないといけないんで……校内を回ろうかと」
「あぁ、なるほど!じゃ、私の演劇部に来てみてよ。今日はこれからなんだ。」
「あ、はぁ……」

演劇。もちろん、権城にある演劇の経験は中学時代の文化祭でやった実にしょうもない劇くらいしかない。そしてその劇での役目は、セリフなしのエキストラである。

(……でもまぁ、他に音楽も美術もやってないから、文化部はどれに入っても同じか)

他の文化部のアテもどうせ無いし、演劇部に入ったって構わないだろう。俺はやればできる子だ。
権城は誘われるがまま、紗理奈と一緒に、クラブ棟の演劇部部室へ向かった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーー




「42…43…44」
「みんな、声が小さいぞ!演劇は気合いだ!」

演劇部の部室では、体操服姿の部員が二人一組で腹筋運動を繰り返していた。上体起こしから、クランチから、Vシット、やたらと本格的なトレーニングである。そのトレーニングに青息吐息の皆を大声で叱咤激励するのは紗理奈だった。

(ちょっと待って……聞いてないってこんなの)

もちろん、見学に訪れた権城も強制参加である。
部長の紗理奈とペアを組まされ、いきなりシゴかれている。

「終わったァー!」

腹筋が終わって、権城が仰向けにくたばっていると、その視界に、背の高い、青い髪の少年が入ってきた。

「まだまだ、これからですよ、権城先輩。次は発声練習です。クラブ棟の屋上に行きましょう。」

高い所から権城を見下ろしているこの少年は、南十字学園中等部の新道姿と言う。まだ中学三年生のはずだが、矢鱈と大人びた雰囲気で、そもそもが端正な顔をしているというのに、それに輪をかけて独特のオーラを漂わせている。この南十字島では知らない者が居ない新道家の跡取りで、家ではメイドを使役してるというのだから、まぁハッキリ言って育ちが違う。そのうえ、文武両道の天才とくれば、多少神々しく見えてもおかしくはなかった。

「あ、あぁOK」

姿の差し伸べた手を取り、権城はその体を起こす。後輩に起こされるなんて、情けないような気もするが、姿相手だと何故か別にそんな事はどうでも良いように思われた。

「島を出て行った権城先輩と、それを再び出迎える姿クンの図……うふふふ」

2人を傍目から見て、鼻の下をイヤらしく伸ばしている少女が居る。黄色髪のショートカット、快活な笑顔が眩しい、中等部3年の揚巻和子だ。神社の娘で、将来は巫女で決まっているらしい。男2人が手を絡ませているだけで、恐らく和子の脳内
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ