4話:零崎舞織の人間交流T
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年中外さないニット帽がトレードマークの女子高生、無桐伊織はどこかの建物に転送された。辺りを見回すと、書類の散乱した大きなデスクと指名手配のポスター。事務所のような印象を受ける。窓に書かれている反転文字を見ると毛利探偵事務所と書かれているのがわかる。
「何でこんなことに・・・」
呟いたところでどうにもならない。そもそも自分が参加していたのは殺し合いではなく大厄島で行われている鬼ごっこだったはずだ。
デイパックから取り出した名簿の中には兄妹となった人識や、死んだはずの双識の名前まである。おまけに入っていたランダム支給品は西洋風の短剣によくわからないコンタクトに・・・。
「うわあ・・・」
闇の十戒とか書かれたそのノートの中身を見て伊織は思わず呻く。
そのノートの中身は、凝り過ぎの設定資料集の様でもあり小説の様でもあり、漫画のプロットの様でもあった。
具体的に書いてあることを説明しろと言われても専門用語が多すぎてできない。しかし伊織にもただ一つわかることがあった。
このノートは重症の中二病が書いたものである。
「見ちゃダメなやつですよねこれ・・・」
何故こんな黒歴史の塊のような物が支給されるのか。どうしても理解不能だった。
「もしかして本当に何かの魔道書とかだったりするのかも」
戯言ですけどね。
伊織がページを捲ると、何やら紙が挟まっている。広げて読んで見るとどうやらこのノートの持ち主のことが書いてあるようだ。海藤瞬という男子高校二年生の所有物らしいが名簿に海藤瞬なんて名前は見当たらない。
高二にもなって中二病って・・・。仕方がないからどこかで処分してあげることにしよう。
結論を出し、ノートをデイパックにしまう。コンタクトはスカートのポケットに入れ、剣は手に持つことにした。とは言っても自分の手ではないが。
ドアを開けて出ようとしたところ、伊織の手が触れる前にドアは勝手に開いた。
「うわっ!」
反射的に剣を突き出してしまう。
「おおっと!?」
ドアを開けた男は剣に驚き尻餅をついた。伊織と同年代位だろうか。
「あ、すいません!」
「いや、こちらこそ・・・。ところで、アンタは?」
男は一瞬伊織の義手に目が行ったが、すぐに逸らす。聞かないほうが良いと判断した。
「えっと・・・」
恐らく名前を聞かれたのだろうが、伊織は一瞬迷う。自分の名前は無桐伊織であるが、名簿には零崎舞織とある。どちらも間違いなく伊織の名ではあるのだが・・・。
「零崎舞織です。でも呼びにくいと思うんで伊織でいいです」
「・・・そうか。俺は西の高校生探偵服部平次や。知っとるか?」
「へ?」
ついでに工藤新一という人物についても聞かれたが、当然心当たりはない。
「やっぱり知らないんか。テレビとかよう出とるのに・・・
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