第十五話 白と黒の姉妹その十二
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「鉄さえも斬れるよ」
「成程ね」
「そうだよ、つまりこの鱗で」
「あたしを斬り刻んで、かよ」
「倒すよ」
そうするというのだ。
「爪も牙もあるしね」
「色々あるんだな」
「ピラニアはアマゾンで最も恐れられている魚の一つ」
その地獄とまで言われるアマゾンの中でだ。
「その恐ろしさを見せてもらうよ」
「面白いね、じゃあ見せてもらうよ」
薊は今度はにやりと笑って言った。
「その恐ろしさもね」
「それじゃあね」
怪人は薊のその言葉に応える様にしてだった、次には。
鱗を立て続けに何枚も出してきた、一枚一枚が禍々しいまでに鋭い。
だが薊はその鱗達を棒と左右へのフットワークでかわす、一見すると見事にかわしている様に見える。だが。
怪人はその薊にだ、鱗を投げながら。
間合いを詰めて来た、そして。
その手の爪で引き裂かんとしてきた、上から下に。
薊はそれを上体をのけぞらせてかわした、だがさらにだった。
怪人はその牙で薊に襲い掛かってきた、上体をのけぞらせている彼女に。
「薊ちゃん!」
裕香はその薊に叫んだ、彼女の危機を察して。
だが薊はやはり強かった、怪人のその牙に対して。
上体をのけぞらせたままだ、そのまま後ろに倒れ込み。
棒を一旦手から離してだ、両手で地面を跳ねて。
その瞬間に再び棒を手に取ってだ、その手のバウンドでバク転をし円の動きになっている身体の端の両足でだった。
怪人のその顎を蹴った、それから両足で着地して再び棒の構えを取って言った。
「危なかったな」
「やるね、予想通りだよ」
「さっきのは見事だったよ」
「君もね、流石に尋常な相手じゃないね」
「お互いにな」
「けれど僕もこれが義務だからね」
だからだというのだ。
「君を倒させてもらうよ」
「それは絶対だよな」
「僕にとってはね」
そうだというのだ。
「だから倒させてもらうよ」
「そういうことだよな」
「ではね」
再びだった、怪人は。
間合いを詰めてきて接近戦を挑もうとしてくる、その爪と牙で。
薊は棒でその二つを凌ぐ、数十回程怪人の攻撃が続いてだ。
薊は防いでいた、怪人が押していた。
だが、だ。薊は怪人の攻撃を動きであることに気付いた、鱗を使い爪と牙もある。その三つは確かに強い。
しかしそれだけだ、それに気付いてだった。
薊は怪人の牙がまた来たところで身体を左にかわした、それと共に。
右足を斜め前に、怪人の腹に向けて放った、蹴りは怪人の腹に怪人から見て右斜め前にまともに入った。
怪人はそれで動きを止めた、そして。
薊はすかさずだ、今度は身体を屈めさせてだった。
棒に炎を纏わせそれを左から右に、怪人の足元を狙って横に振った。それで怪人の足を打とうと
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ