第十五話 白と黒の姉妹その十
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「出来るわね」
「拳法部だからかね」
「そうね、天枢薊さんね」
「ああ、そうだよ」
「そして巨門菖蒲さん」
少女はここで菖蒲にも言った、
「そうね」
「ええ」
菖蒲は少女のその問いにも答えた。
「私達のことを知っているのね」
「ええ、聞いているわ」
「そうなのね」
「私の名前は開陽黒蘭」
少女は自分の名前も名乗った。
「二年G組よ」
「同じ二年かよ」
「そうよ、部活は新体操部よ」
「それはまた綺麗な部活だな」
「綺麗かしら」
「綺麗っていうか華があるな」
そうだとだ、薊は黒蘭に話した。
「新体操ってな」
「そう思うのね」
「ああ、あたし的にはさ」
「そうなのね」
「黒蘭ちゃんって呼んでいいよな」
薊は黒蘭にここでこう言った。
「名前で」
「いいわよ」
「そうか、じゃあ黒蘭ちゃんな」
薊は黒蘭の返事を受けてあらためて彼女の名を呼んだ、そのうえで言うのだった。
「あんたあたしに何か用かい?」
「用があると言えばあるわ」
黒蘭は表情のない顔と声で述べた。
「挨拶しに来たのよ」
「挨拶ねえ」
「貴女のことをよく聞くから」
「あたし有名人なんだな」
「噂通りの人ね」
「噂通りって?」
「明るくて活発な感じね」
薊はそうした人間だというのだ。
「噂通りに」
「まあよく言われるよ」
薊は黒蘭の言葉に笑って返した。
「そうな」
「そうね、ではこれからね」
「宜しくっていうんだな」
「ええ、それではね」
こう返してだった、そうして。
黒蘭は無表情なままだ、薊達に言った。
「また会いましょう」
「ああ、じゃあな」
薊が笑顔で返す、そうしてだった。
黒蘭は一礼してから薊達の前から去った、そうしてだった。
薊は裕香と菖蒲にだ、彼女が去ったクラスの扉を見て言った。
「何かお人形さんみたいな奴だったな」
「ううん、菖蒲ちゃんに似てるかしら」
裕香は薊を見てこう言った。
「何処かね」
「そうだよな、けれどあいつ」
薊はこうも言った。
「出来るな」
「そうね、気配を消していたわね」
「怪人だって気付くのにな」
「あっという間に間合いの傍まで来たな」
「あと少し遅かったら」
まさに一瞬の間隔で、だ。
「入られていたわね」
「それでやばいことになってたよな」
「ええ」
菖蒲は薊にその通りだと答えた。
「闘いだったならね」
「あいつひょっとしてな」
薊は目を鋭くさせて言った。
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