第三十話
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俺は『劉宏死去』の一報は荊州で聞いた。
「……皇帝陛下が亡くなりましたか……」
俺は荊州城で劉キ殿と玉座で話し合いをしていた。
「はい、恐らく中央は荒れるでしょう。特に何進と十常侍が……」
「……………」
劉キ殿は無言で頷いた。
「……一応、用心はしときましょう」
劉ソウ殿が言う。
「そうだな」
劉キ殿は頷いた。
「……ですが、もうすぐ我々は南陽に引き揚げねばなりません」
俺は二人に言う。
一応、俺達が荊州に来たのは劉キ殿の政治を助けるためで、既に充分だと判断している。
これは劉キ殿と劉ソウ殿も承諾していて、三日もすれば俺達は南陽に帰る事になっていた。
「今のところ、継母、蔡瑁一派は完全に沈黙しているので問題は無いでしょう」
劉キ殿はそう判断した。
「なら荊州はしばらくは平穏ですね」
「はい」
劉キ殿が頷いた。
「ですが、袁術殿は充分に用心をなさった方がいいですね」
「はい。袁紹辺りが何か企んでいそうですけどね………」
俺はそう呟いた。
そして三日後、俺達荊州派遣部隊は任務を終えて南陽に帰還した。
―――玉座―――
「長門、荊州での任務はご苦労じゃったのじゃ」
「は」
俺は美羽に頭を下げる。
「劉キ殿は美羽様に大変、感謝の言葉を述べていました」
「そうか。それなら荊州を妾の領地にしなくてよかったのじゃ」
本来、荊州は劉表の領地から美羽の領地へと変わる予定だった。
しかし、美羽は宦官の金を持たせて劉表の長男である劉キの支配下にさせる事を提案した。
美羽に後から聞けば、荊州を貰えば袁紹と対立するかもしれないという考えがあったらし い。
そこで、美羽が劉キを援助して荊州を立ち直らせる事にしたのだ。
ちなみに、この事を聞いた七乃と零は大層、涙を流していた。
「長門。陛下が亡くなった事は聞いたかの?」
「は、荊州で劉キ殿から聞きました」
「うむ。このままだと国土は再び戦乱で荒れるようじゃ。………何進と十常侍の争いが水面下で激しいようじゃ」
………この美羽はかなり賢いよな?
「長門。我が袁術軍は即座に動けるように即応態勢にしといてほしいのじゃ」
「分かりました」
俺は美羽に頭を下げた。
「では今日の会議は終了します」
七乃の言葉に皆は玉座から出ていく。
「長門」
玉座から出ようとすると、美羽に声をかけられた。
「どうしましたか美羽様?」
「もう敬語は良いのじゃ。長門の仕事は今日で終わりじゃ。妾と来るのじゃ」
「
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