第三章
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第三章
「それで帝が結婚されて皇子にはさらに半分になって」
「次の代でまた半分になって」
「その次でまた半分になってくな」
実際に系譜を見ながら検証が進んでいく。
「何だよ、今全然っていってもないぞ」
「ああ。こんなので向こうの人って言えるか!?」
「渡来とかだったら誰だってそうだろ」
こう話されていくのだった。実際に森林国は火山国から多くの渡来人が来ている歴史がある。今も様々な事情から移り住んでいる所謂在森火山人という人々がいる。
「こんなので火山人か」
「それだったら俺も火山人だよな」
「いや、今も言い出してるだろ」
こういった話もされるのだった。実際に火山国はそうした主張も世界中にしていて呆れられてもいる。だから川山国の思想家も火山国の民族の人間だと言えるのだ。
「だからな。奴等は」
「本当に何考えてるんだ?」
「わかるか、そんなの」
こんなふうにも言われるのだった。
「まあとにかく帝室は火山人じゃないな」
「今上陛下の所縁があるっていう御言葉から言い出したんだよな」
「だったな、確か」
実ははじまりはそれからだったのだ。リップサービスと考えるのが普通だが火山国の人間はそうしたふうには受け取らなかったのである。
「それはな」
「やれやれだな」
「まあこれで反論はできるな」
「そうだな」
そんな話をする。そうしてすぐに反論を出す。しかしこれもまた彼等の耳には入らなかった。そして今度はこんなことを言うのであった。
「あの体術もまた我が国起源だ」
「印山国のあの体術もだ」
今度は川山国の南西にあるこれまた長い歴史と独自の文明を持っている国のものを自分達の起源だと言い出したのだ。今度はそこだった。
「あれはそもそも我が国に起源があり」
「その根拠は」
「ないよ」
印山国の人々はこれまでの三国よりもきつかった。
「そんなものないよ」
「あったら出して欲しいものだ」
「さあ出してみろ」
こう言うがであった。相変わらずの対応の彼等であった。誰にでもすぐにわかるような嘘を出してすぐに否定された。しかしそれを認めない。
そうしてその出鱈目な主張を繰り返す。印山国の人々も完全に呆れ返った。そして遂にはこう言って匙を投げてしまったのである。
「駄目だあれは」
「何を言ってもな」
「そうだな。駄目だ」
まさに駄目出しであった。
「ああいう連中だな」
「そう思ってな。相手をしていくか」
こう断定したのは彼等だけではなかった。他の三国もだ。彼等の目は生暖かいものになった。しかし火山国の者達は相変わらず起源の主張を続ける。
「欧山のあの帝国の起源は我々にあって」
「そしてあのサッカー選手のルーツは我々にある」
こうした主張を延々と続けるのだった。最早誰も
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