第三十四話
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「そうなんですか?」
「ああ。だから、まあ・・・夜露ちゃん以上に、狂ってるよ」
と、狂ってる自覚はあってもそれに対して何かしようとは思わない。
それもまた、狂ってる。だが、それにも何も思わない。
「狂ってる自覚があるだけいいんじゃないんですか?」
「これは自覚じゃなくて、理性だからね。感情として狂ってると思ってるんじゃなくて、頭で理解してるだけ。だから・・・その、違和感は大切にした方がいい。それすらなくなったら、その時には」
ヒトでは、なくなってしまう。
「ヒトではなくなる、ですか」
「ああ。人間を殺すことに何も思わなくなったらその時には、そいつはヒトではなくなる。人間の見た目をした、ただの化け物だ」
で、俺は多分境界線の真上にいる。
時にヒトをやめて、時にヒトに戻る事が出来るラインに。
「それ、いつかお兄ちゃんとかもなるんですか?」
「あいつがあいつの中にある正義にしたがってやってる限りは、そうはならないよ」
「じゃあ、一輝さんは?」
「俺は・・・ただ、気に入らないから殺した。だから、こんな目をしてるんだよ」
俺自身、話していて何言ってるのか分からなくなってきている。
だから、これで納得してくれたのかは分からないけど・・・それでも、夜露ちゃんは。
「ありがとうございました、話してくれて。少し、どうしたらいいのか分かった気がします」
そう、言ってくれた。
「なら、もう寝ようか。明日、夜露ちゃんも学校あるでしょ?」
「はい。あの酔っ払いさんたちのこともありますからね。明日は朝から大忙しです」
「とりあえず、白夜は任せることにするよ」
そんなことを話しているうちに夜露ちゃんが眠ったので・・・俺も、目を閉じて睡魔に身を任せた。
そしてそのまま、俺が高校に入学した日は終わった。
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