第三十四話
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せ・・・俺自身がもう、人殺しというのがどれだけ苦しい物なのか。どんなことを聞かれたくないのか。一切分からないんだから。
「何で、そんなことに?」
「そう、ですね・・・夜露、これでももう奥義を継承しているんです」
その話が鍵なのだろうか。
夜露ちゃんはそう、話を切り出した。
「へえ、その年であの奥義を・・・すごいね、それは」
「ありがとうございます。・・・でも、さすがに十歳であれを受け止めるのは無理があったみたいで。ちょっとした錯乱状態と言いますか・・・自我のない、暴走状態になってしまったんです」
と、その発言に俺は納得することができた。
夜刀神家の奥義は、神の力の一端を自らの体に降ろす、というもの。それを十歳で実行することができただけでも偉業と言っていい成果なのに、さらにコントロールするというのは・・・高望みしすぎだ。
「で、ここからはもう予想ができますよね?そのまま暴れてしまって、その過程で門下生を何人か殺してしまい、さらには相性が良かったみたいで奥義を使ったお兄ちゃんをボッコボコにして・・・・で、ようやく止まりましたとさ、です」
「それは・・・将来有望だね」
「そう見ることができると、楽観的になれていいんですけどね。とはいえ、周りはそうもいかなくて・・・私のための刀は、没収されたまんまです」
「ま、当然だな」
いつまた暴走するか分からないのに、火種を渡しておくはずがない。
「で、ですね。ここからが聞きたいことなんですけど・・・お気を悪くしてしまったら、すいません」
「ま、その時はその時だ。何でも聞いて?」
「では・・・一輝さん、人を殺したことを、どう思っていますか?」
うん・・・普通なら、かなりヘビーな内容だな。
「どうして?」
「えっと・・・夜露の家族は、みんな気にしなくていいって言ってくれてるんですけど・・・なんでか、何とも思えていないんです。それが、どうしても気になってて」
「そっか・・・白夜には聞いてみた?」
「いえ。お兄ちゃんの目は、こう・・・夜露とは違う感じで」
あらら、この年でそこまで感じ取れちゃってるのか。
それにしても・・・うん、そういうことか。
この子と俺は、そう言ったところが相似なんだ。
「それで、俺の目は夜露ちゃんに近かったわけだ」
「そう感じましたね。それでも、夜露とは比べ物にならない感じですけど。なので・・・この、罪悪感を感じることができない違和感が何なのか、しれるかな、と」
「そうか。じゃあ、その気持ちは大切にしろよ」
そして、俺の話を始めるとしようか。
「本気での相談みたいだから、俺も何も隠さずに言うけど・・・俺は、何とも思ってないよ。罪悪感を感じてもいなければ、それに関する違和感も持ってない」
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