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白井雪姫先輩の比重を増やしてみた、パジャマな彼女・パラレル
第1話『二度目の出逢いと、雪姫の心』
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っ!!!
「いたたたた!!!」
耳を思いっきり引っ張られた。
「痛いいたい痛いですっ!!!」
振りほどく訳にもいかず、甘んじて罰を受けるが悲鳴までは抑えられなかった。
「さっきはお尻まで触ってきたよね」
「ええっ!??」
そんな覚えはない。流石に捏造冤罪まで上乗せされる訳にはいかなかった。
「そっそんなっ……!! 知らないです……っ。してないでしょそんなことっ……!!」
「ふーん、とぼけるんだぁ?」
言いながら、反対側の耳まで少女が引っ張ってくる。
「──!!」
雪姫と正面から向かい合う形になった。
すぐに耳への力は緩めてもらえたが、至近距離にある美貌に、息をつく余裕もなく。
「とぼけた振りして、実はスゴイプレイボーイだったりするのかなぁキミは……」
「だから違いますってばっ!!」
顔を逸らそうとするが、両手に耳を押さえられていてそれも許されない。
さらに雪姫がこちらの目を覗きこんでくる。
「んー?? じゃあ何で目を逸らすのカナ?」

──顔が近いからに決まってる!!

そんな悲鳴をあげたくなるが、それも恥ずかしくてできない。
ふと雪姫の左手が計佑の顔から離れ、彼女の顔が横に流れた。
何事かと思う間もなく──

「スケベ」

ささやかれ、そのまま耳に息を吹きかけられた。
完全に固まってしまう少年。
そんな少年に、雪姫はまたニンマリと笑うと、
「ありがとっ、じゃあね!」
たたっと駆け出していく。
「へっ……へ……?」
計佑は、しばらくの間真っ赤な顔のまま、棒立ちを続けていた──。

─────────────────────────────────

──随分うろたえてたなぁあのコ……顔も真っ赤にしちゃって。
初めて会った時は、結構泰然としてる感じだったのに。

少年の事を考えながら、雪姫自身も、自分の振る舞いに驚いていた。

──自分のほうから、男の子に触れたりするなんて……

雪姫は、男性には苦手意識があった。
同年代の少女たちより大きく膨らんでしまった胸をチラチラと見てくる男子生徒にいつも抵抗を感じていたし、
自分の外面だけを見て告白してくる男たちにも、嫌気が差していたからだ。

──なのに、私があんな風に振る舞えるなんて。

あの時の男の子だとわかってからは、
……いや、今にして思えば準備室の一件から、どこかいつもの自分ではなかった気がする。
コンプレックスの胸に触られたりした相手なのに、あんな頼みごとをしてしまうとか。
いつもの自分だったら、
男のコとふたりっきりなんて、かなり緊張する状況の筈なのに随分と自然体でいられた。
彼が「あの時の男の子」だとわかってからは、なんだか更に調子にのってしまった。

──耳元に息をふきかける
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