アカデミー編
女の子
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ジの視線から逃れるように体を丸めた。
恥ずかしい、消えたい。
そんな思いと共にこみ上げる衝動と、それ以上にナルトを危険にさらすような真似をしてしまったという自責の念が彼女を苦しめる。
ううと唸る彼女の頭の中で、フラッシュバックがおこる。
赤と黒。失ってしまったもの、帰ってこないもの。泣きそうに顔を歪めたサスケに、それでもと縋った自分。あの日、あの惨劇を起こしたのは、ほかでもない、自分自身。
カトナの顔が蒼白になった。
「カトナ、平気か?」
ネジが戸惑ったような声で言葉をかけてくる。
けれど、その瞳に浮かぶ心配が気持ち悪い。
女だから心配されているようだ。気持ち悪い心配。
女、女、女。
女になんか、生まれたくなんてなかったのに―!!
胃の中でまたぐるぐると吐き気が回りだし、必死に口をおさえるが、努力虚しく、もう一度吐瀉物が撒き散らされる。
「ごほっ、うえっ、げほっ、あっ」
つんと鼻を刺す酸っぱい匂い。また吐いてしまった羞恥。それを上まわる、サスケに迷惑をかけたという罪悪感。そして、自分が女であるという、紛れもない証拠。
ネジがまた何か言葉をかけようとしたが、それよりも先にサスケがカトナの口に布を当てた。
ふわりとした洗剤の匂いが、吐瀉物の匂いを無くす。
新しい匂い。きっと洗い立て。サスケのタオルなのかな。
駄目だ、良く頭が回らない。ぼーっとしてしまっている。混乱しているのか。それとも……貧血なのかもしれない。
また、涙が溢れそうになって、吐瀉物だらけの手でも構わずに涙をぬぐおうとすれば、やんわりと手を掴まれて、ハンカチで涙をぬぐわれる。
「大丈夫だ、カトナ。平気だ。誰も気が付かねぇよ」
何も言わなくても察したらしいサスケは、全く厭うことなく、カトナの口を布でふいた。
汚物も吐しゃ物も意にも介さず、床を雑巾で軽くふいてから、カトナを背負う。
「…日向ネジ。教師に伝えておいてくれ。俺はカトナを家に帰らせる」
年上に対しての礼儀一つ知らないかのように、敬語など全く使わないサスケに、ネジが苛立ったような顔を見せた。だがサスケは、それをすべて封殺し、カトナを家に連れて帰る。
サスケの背中で小さくなったカトナは、もう何も見たくないと目を瞑った。
・・・
カトナに触れてくる、何も知らない奴らがうっとうしい。
サスケは舌打ちをした。
カトナが女として見てほしくないことを分かっているくせに、それでも、女として見てくる日向ネジが嫌いだ。
……俺がどんなに見たくても、もう見ることが出来ないものを、簡単に見てしまえるあいつらが嫌いだ。
カトナは自分が女だと指摘されるのを嫌がる。
それはカトナが九尾をナル
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