8話 『予言者と賢者達』
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ビルを始め、耳を疑うランク、シファ。
「"もたらす者"によって症状は様々ですが………あの方の場合、左肩から背にかけて受けた傷が元で、人知れず時折訪れる激しい痛みに耐えてきたようで、今回に至っては高熱を出されるほど程度が甚だしかったみたいですね」
「まさか、その傷って……!」
シファは、あの赤マントの裂けた後ろ姿を思い出す。
「えぇそうよ。ナイト・ガーランドとの戦いで、シーフの"貴方"を庇った際に受けていた深手──── 」
「!? 何で、ンな事知って……ッ」
「アラ……、貴方さっき云ったわね。ワタシ達は何でもお見通しって」
ランクを冷笑するかのように云う、エネラという女賢者。
「ちょっと、待てッ。アイツ……自分で白魔法で傷、治したンじゃ──── 」
「ナイト・ガーランドは、[カオスの力]に魅入られた1人。その者の繰り出す力は禍々しき"呪い"となって標的者を蝕む。
……つまり、彼の受けた傷は癒える事がないの。[カオスの呪い]をもたらした張本人────ガーランドを倒さない限り」
「あ、あの黒いナイトの人は、ボク達が倒せたんじゃないんでスか……?!」
(思わず聞き返したビルに、黒髪の女賢者が続ける。
「憶えてないのかしら、ワタシ達には"視えていた"のだけど………。あの時、追い詰められた貴方達は、無意識の内にその身に宿すクリスタルの欠片の"半端な力"で、ガーランドを[異空間]へ追いやったのよ。いいえ、そうね────彼が"その力"を利用して逃げた、とも云えるわね」
そう云われても、3人は何故か記憶に靄が掛かったようにうまくその時の事を思い出せない。
「異空間つったって……、どーすりゃ見つけ出せンだッ?」
ランクは躍起になって予言者ルカーンに問い質す。
「時が来るば、自ずと解る」
「な゙、ふざけやがって……! 時が来ても来なくても、ガーランドの野郎を引きずり出して赤魔の受けた[呪い]ってのはオレが解く! オレは……オレのやり方でやるからなッ!」
1人踵を返してその場から立ち去るランクに、シファとビルは戸惑いながらも後を追う。
「あ、あの、失礼します……!」
3人が立ち去るのを、黄昏の中黙って見送る12賢者達。
────────────
3人は屋敷の宛がわれた部屋に戻り、メイドのテューテが出迎えた。
「お帰りなさいませ、皆さん。……赤魔道士の方は呼吸が安定し、熱も下がられてきたようですから、明日にはお目覚めになると思われますよ。────では、お夕食の準備がありますので私は一旦失礼至します。何かありましたら、お尋ね下さい」
倒れた直後と違い、顔色も落ち着いた様子のマゥスン
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