1部分:第一章
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よりもショックだった。親にさえ信じてもらえない、そのことが何よりも辛かった。雪はその言葉を聞いて完全に終わった。
それから部屋の中に閉じこもり出て来なくなった。携帯の電源も切り全てから逃げた。しかしそれでも告訴の話が来て親が扉の向こうからそのことをしきりに問うて来る。そしてある日のことだった。彼女は遂に早まってしまったのであった。
風呂に入っている時に手首を切った。湯舟の中に浸って全てを終わらせようとした。そのまま意識を失ったが風呂があまりにも長いので気になった母が見つけて救急車を呼ばれた。気付いた時には白い病室の中であった。そこで医者に言われたのである。
「危ないところでしたよ」
「何で生きてるんですか?」
雪はこう自分の枕元に立つその中年の女の医者に問うた。
「あのまま死ねば終わったのに」
「詳しい話は後で聞きます」
医者は今はそれ以上は聞こうとしなかった。
「しかし」
「しかし?」
「自殺をしても何にもなりません」
こう彼女に言ってきたのである。
「そんなことをしてもです」
「けれど私は」
雪は起き上がれなかった。体力以上に気力がなかった。その絶望しきった心の中で静かに医者に対して言ったのである。ベッドも病室も医者の服も何もかもが白い。だが今の彼女にはその白は明るいものには見えなかった。暗鬱なものにしか見えなかった。
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