ヤン代将のある一日
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完成前に小惑星をぶつけて破壊してみせて、あそこに要塞が置かれる事の無意味さを提示して見せたんだから、あの人頭おかしいよ」
ヤンの言葉に一同なんともいえない顔をする。
まともな軍人上がりの考え方ではない。
「唯一の回廊に要塞で蓋をされた?
逆に考えるんだ。蓋をされたならば、開ければいいんだ。
閉めたままにする?
同じ事を考えているやつがいたらどうする?」
人形師、イゼルローン破壊作戦の一幕である。
彼には破壊後の帝国が再侵攻をする人的・財務的余裕が無い事を見抜いていたし、戦場をイゼルローンに固定する無意味さも知っていた。
そんな流れからすれば、現状のイゼルローン回廊ではなくフェザーン回廊に迫りつつある戦火というのは、彼が生きていたら笑顔でグッジョブと親指を立てていただろう。
殴りたいような笑顔つきで。
研究会そのものは、たいした事も無く終わった。
惑星フェザーンには二個艦隊があり、同盟の有償譲渡で得た旧型艦艇に同じく有償譲渡のドロイドやアンドロイドを乗せた一個艦隊規模の傭兵艦隊が派遣される事が決まっている。
さらに惑星フェザーンに強力な防衛衛星もついてるから、攻撃をするのならば帝国は最低でも倍の六個艦隊は用意したい所だ。
この規模の艦隊ともなるとミュッケンベルガー元帥直々の出馬となるのだが、フェザーン討伐による金融と物流の混乱が出征計画に悪影響を与えているという。
帝国は対フェザーンの金融資産の凍結と帝国内フェザーン船の拿捕を命じたが、その結果物流が大混乱。
フェザーン所有帝国債権の支払い停止をはじめとした金融封鎖はフェザーン企業に投資していた帝国金融機関を巻き込んでこちらも大混乱に陥っており、先の帝国内戦で没収したリッテンハイム候をはじめとした滅亡貴族資産で穴埋めしているが、動揺は依然収まっていない。
ローエングラム伯の式典というのはそういう動揺を押さえ込む政治的パフォーマンスという一面もあるのだろう。
帝国のフェザーン侵攻は795年中ごろにずれ込むだろうという情報部の予測が披露されると明らかに皆の気が緩む。
ヤンの所属する第九艦隊だけでなく、第三次ティアマト会戦で打撃を受けた第四艦隊も戦列に復帰できるからだ。
一方、同盟によってその悪行が暴露された地球教だが、帝国でも弾圧が始まっていた。
何しろ帝国軍を蝕む麻薬の供給源とされたのだから弾圧も激しく、地球教の抵抗もすさまじく、これもフェザーン侵攻を遅らせている要因の一つとなっているらしい。
こうして、ヤンたちは楽しみであるキャゼルヌ少将宅の食事会にたどり着いたのだったが、一人予想外の参加者によってヤンが狼狽する事になる。
794年士官学校次席卒業という超優良株を預かってくれという、キャゼルヌ少将の言
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