エピローグ:人は何の為に
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経っただろうか。
その道の果てに、ようやく……ようやくまた出会えた。
奇跡の先に……さらにもう一つの奇跡が、ボク達を温かく包み込んでいた。
もう、決して手放さない。
手を伸ばす。
そして二匹を……この胸に、抱き寄せる。
「――――ぁ、あぁっ……」
新しい、大粒の涙がぽろぽろと溢れ出す。
なんて……なんて温かいのだろうか。
種族も、血も、住む世界をも超えた温もりが……ここにあった。
ずっとずっと夢見ていた……ずっとずっと求めていた、互いを信じあう温もりが……ここにあった。
『――プレイヤーログアウトシステム稼働中。現在 進行度51%。 プレイヤーの皆様は その場でお待ちください。現在 進行度――』
システムアナウンスは鳴り続ける。
気づけば、この森……いや、その辺り一帯の全ての色相が白になってゆく。
下から続いていたログアウトシステムが……プレイヤーのログアウトと鋼鉄の城の解体が、ついにこの階層にも達したのだろう。
もうすぐ、ボク達もまたこの世界からログアウトさせられようとしている。
その時、ずっとボクに抱かれていた二匹が、突如、ボクをじっと見上げた。
すると……二匹の身体が薄く輝き始めた。先ほどの白い輝きではない、その鬣のような、青い霧の輝き。
ミストユニコーンのワープ能力の輝きだった。
「ルビー? ベリー……?」
二匹はボクを見つめたままなにも言わず、ボクが言うよりも早く、その能力で突如消えた……かのように見えた。
けれど違った。
同時に、ボクの視界に小さなシステムウィンドウが現れたのだ。
【2件のクライアントプログラムが ナーヴギアのローカルメモリ内に保存されました。】
そのメッセージから、ルビーとベリーはこの世界の消滅と共に自分達が消えないように、ボクのナーヴギア内に移ったと理解するのに時間はかからなかった。
――これからも傍にいる。もう二度と離れない。
そういう、強い意志が感じられた。
……他でもない、この指に嵌めている二つの指輪から。
「うんっ、うん……! ずっと、一緒だよ……!」
一人になったボクはその手を胸に添える。
二匹の姿は消えるとも、その温かさは変わらない。
だってボク達は、いつも傍にいるのだから。
この温もりは、もう二度と離れないのだから。
世界が白に染まってゆく。
それだけでなく、今度はボク自身もが、まるで色素が抜けるように白く染まってゆき……今にもこのポリゴンの身体が、この仮想世界から脱しようとしていた。
――この世界を構成する全ての物は0と1に還り、この世界の全ての魂はあるべき場所へと還ってゆく。
そうして、この世界の全てが救われていくのを
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