エピローグ:人は何の為に
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埋め込まれた赤い宝石が突如眩く発光したのだ。
その二つの光の塊はバシュッと音を立てて上空へと飛び立ち、すぐにUターンの軌跡を描いてボクの目の前へと音もなく着地した。同時に今度こそ目も眩む光が迸り、思わず袖で目を覆う。
「う、なにっ……?」
その光が徐々に弱まり……そうしてその中から現れたのは、
「――――あ」
その光のように、純白の化身の如き体は、小さな仔馬の形。……それが、二匹。
見違えるものか。
「ル、ビー……? べ、ベリー……?」
見違えるはずがない。
「どう、してっ……」
けど、口から出る言葉は震え、問いかける形になってしまう。
その問いかけの答えは、意外なところから帰ってきた。
『――全ての プレイヤーの ヒットポイントは 最大値で固定されます。全ての モンスター および オブジェクト情報は リセットされます。全ての――』
という、尚も繰り返し放送されているシステム音声の長文の中に、その答えがあった。
モンスターおよびオブジェクト情報のリセット。それにはモンスターの再湧出情報も含まれるのではないだろうか。
つまり、その存在自体が十体で固定され特有的存在となっていたミストユニコーンは、オブジェクト情報のリセットと同時にその生死状態もリセットされた……ということではないだろうか。
いや……もう、そんな細かいことはどうでもいい。
こうして、二匹に再び出会えたのだから。
もう、そこに言葉なんていらない。
ボクは口にするのももどかしく、思わずそこへと駆け出そうとして……
「あ……」
その足が止まる。
そうだ。
目の前にいる二匹は、ミストユニコーンだ。
けど…………ルビーとベリーである保証はない。
カーディナルの指令によって再び生成された、ボクの使い魔設定がされた、ただのミストユニコーンという可能性だってある。
その疑心が、ボクの足をその場に強く打ち付けていた。
その二匹のミストユニコーンは目を閉じて佇んでおり、それは徐々に弱まっていく光の収束を待っているかのようだった。
「あ……あっ……」
待って。
その目を開けないでほしい。
もしも初対面の、機械的で無機質な一般Mobのような目を向けられたら……きっとボクは耐えられない。
けれど、はやくその目を開けて欲しい。
懐かしいあの目で……またボクを見て欲しい。
その内心の激しい葛藤は、光の収まるまでの数秒をいつまでも引き延ばしてボクを苦しめた。
けれど、必然的にその時はやってくる。
輝き続けていた光はついに収まり……予感していた通りに、それと同じくしてその瞼が開けられる。
その二匹の真紅の目が
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