エピローグ:人は何の為に
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で語り合う彼らを横目でひっそり見ている常連客の存在に気付いたのなら、恐らくそれはボクだ。
レべリングの方も順調だ。
最初は指輪のおかげで最大HPが五千も増えたとはいえ、あわせてたったの五〇七九だったので、当時レベル74のボクが第十層くらいのザコ狩りという効率ゲキマズ状態からのスタートだったが。
しかし、ベリーの指輪のもう一つの能力《レベルアップ時の最大HP値ボーナス》が、これがかなりのボーナス値だったのだ。それがどれくらいかというと……キリトが真剣に欲しがると思うので伏せておくとする。
その指輪のボーナスと、両手斧・槍・棍の3つのスキルをマスタークラス以上に上げているボクの《HP最大値上昇ボーナス》も相まって、ボクのHP値はレベルを上げるたびにみるみる上がっていき……
「ボクも、けっこう強く、なったよね……?」
視界左上の隅にあるHPバーを見る。
そう。あとレベルを2、3も上げれば攻略組に参加できるくらいまでにボクのHP値は元に戻っていたのだ。
わずかに口の端が上がるのを感じながら、ボクはウィンドウを開きフレンドリストのタブを押した。
……誰一人の名も登録されず、増える事も無いと思っていたはずのそのリストには……キリト達の名前があった。
その名前の一覧を見るだけで心が少し温まる心地よさを覚え、まるで宝物の様にウィンドウを胸に抱く仕草をする。
リストの名前の横には彼らの現在地が記され、今なにをしているかが目に浮かんでくるようだった。
シリカには名も知らぬダンジョンらしき地名が記されていた。アイドルプレイヤーのシリカの事だ、パーティーの人気者として、ピナと共にキリト達のレベルに追いつかんと冒険に励んでいるのだろう。
リズベットはボクが思っていた通り、現在地はリズベット武具店を指している。恐らく、ボクの鎧を作ってくれた時の様に活き活きとした目をしながら、今日も大いに槌を振るっているに違いない。
そして……
「がんばれ、二人とも。……次の階層攻略の時には、きっとボクも参加するからさ」
キリトとアスナの二人は、第七十五層の迷宮区とあった。今朝の朝刊の情報通りなら、今頃はフロアボスと戦っている最中だろう。
彼らがボスを破った暁には、次の層からボクも攻略組だ、と言って笑ってやろう。
……そして、これからは二人の隣で戦うんだ。
そう決意しながら、そろそろ宿に戻ろうと木の根から腰を下ろした――その時だった。
突如リンゴーン、リンゴーンと大音量の鐘の音が辺りに響き渡りはじめた。
「な、なにっ……!?」
中心街《ジュイン》の時報の鐘の音とは違う。このアインクラッド中に響くような鐘の音は一体……。
そう思いながらふと空を見上げて、ボクは再び驚愕した。
上空の天蓋
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