第六十七話
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良い。
「さて、そろそろ退場してもらう――ッ!?」
チャキ、と音をたてながら日本刀《銀ノ月》を構え直し、もはやHPも残っていない『亡霊』に向かって攻撃しようとしたところ、俺の隣に、『亡霊』が発生させたままの《奴》の幻影が佇んでいた。あくまでこの幻影たちは、『亡霊』が攻撃を当てるまでのカモフラージュであり、目の前に『亡霊』がいる以上警戒の必要はない。だが、形容しがたい嫌な予感――強いて言うならば直感に従って、《奴》の幻影たちから自然と距離取りつつも、一本のクナイを近くの幻影に向かって放った。
すると、カキンという小気味良い音とともに、《奴》の幻影へと放ったクナイが盾に弾かれたように大地に落ちる。先程までいた《奴》の幻影には、実体などない筈なのに……
「ショウキさん気をつけて! ……そいつら皆プレイヤーだ!」
橋の向こうから、回復を終えたらしいレコンの警告が俺に向かって飛んでくる。その手にはレコンの闇魔法の触媒となる鏡が握られており、恐らくはあの鏡でプレイヤーの数をチェックしたのだろう。そして俺を囲んでいるのは、レイピアを構えた『亡霊』と《奴》の幻影は九体ほど……レコンの警告からすれば、その《奴》の幻影たちにプレイヤーが隠れているとのことだ。加えて《奴》の幻影たちに隠れたプレイヤーは、先程クナイを弾いた盾が見えないことから考えて、その武器種すら隠していているらしい。
「来るか……!」
「ショウキ!」
「――――シャァッ!」
……そして一斉に時は動き出した。回復を終えたレコンとリズが増援に駆けつけるようと、橋の向こうからこちらに走ってくる。『亡霊』と『幻影』は単独で孤立している俺に対し、リズとレコンが来る前に仕留めようと総攻撃を敢行した。『幻影』たちは一体一体動きが違い、同じ姿で同じ動きをして攪乱する――というような行動はしておらず、練度はあまり高くなさそうだったが、数はその分圧倒的。
そして標的となった俺は――
「ナイスな展開じゃないか……!」
――笑った。迷いを振り切った『覚悟』の笑み。自らを奮い立たせる言葉とともに、《奴》の姿をした『幻影』たちに立ち向かっていく。
まさか向かって来るとは思っていなかったらしい『幻影』たちは、一瞬だけ自らの動きを躊躇させたものの、すぐに軽装備らしい『幻影』が数人突出してきた。姿だけは《奴》そのものなので、その得物は本当は何だろうと、《奴》の得物であった包丁にしか見えない。
「悪いが、見えてるんだよ……!」
……普通なら。『幻影』のうちの1人から放たれた槍を、少し身体の位置をズラすことで回避すると、そのままの勢いでドロップキックをかましてやる。そして槍使いを足場にして蹴りを叩き込みながらジャンプ……そのジャンプでもう1人の『
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