第三章 悪夢
第12話 時間
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の日の路地裏で当麻さんが私の本当の姿……今の姿を見てしまった時ですわ……あなたが何故か苦しそうにしていたので……楽にしてあげようとしましたのに……」
その時、狂三はさっきまでの笑みとは正反対の真顔で、声のトーンを低くして、上条に言った。
狂三「あの時、あなたの『時間』を吸い上げることはできませんでしたわ。どういう原理を使ったのかは知りませんけれども ……」
恐らく上条が気づかない内に幻想殺しが発動していたのだろう。
口調からして、狂三は上条の幻想殺しは知らないようだ。
士道「狂三、俺が狙いなら、俺だけを狙えばいいじゃねぇか!なんでこんな……」
士道は思わず叫んでしまった。さっきとは違って狂三は愉快そうに言葉を発した。
狂三「うふふ、そろそろ『時間』を補充しておかねばなりませんでしたし……それに、あなたを食べる前に今朝の発言を取り消していただかないとなりませんもの」
士道「今朝の……?」
狂三「ええ。私を救うだなんて迷い言を」
士道「……っ」
上条「……」
士道は狂三の、あまりの視線の冷たさに、思わず唾液を飲み込んでしまう。
狂三「ねえ、士道さん。そんな理由でこんなことをする私は恐ろしいでしょう?関係のない方々を巻き込む私が憎いでしょう?救う、だなんて言葉をかける相手ではないことは明白でしょう?」
狂三「だから、あの言葉を撤回してくださいまし。もう口にしないと約束してくださいまし。そうしたから、この結界を解いて差し上げても構いませんわよ?もともと私の目的は士道さん1人ですもの」
士道「なっ……」
目を見開いた。その条件はあまりに簡単だった。狂三が士道をたかばっているのではないかと疑ってしまうほどに。
そして、嘘をついてる形跡もない。恐らく本気だろう。
狂三「きひひ、ひひ。さあ、早く止めなければなりませんわねぇ。急がないと手遅れになってしまう方もいらっしゃるかもしれませんわよォ?」
士道が言葉を撤回する。たったそれだけ。逆にしなければ結界の中にいる多くの人の命が危険に晒されることになる。
士道「結界を解いてくれ……でもお前を諦めない」
狂三「……え?何を言ってますの?」
狂三は士道と目を合わせた。士道は何かを決意した真っ直ぐな瞳でこちらを見ていた。
狂三「はぁ、呆れますわね……」
狂三はそう言うと、トントン、と軽やかにバックアップし、士道と距離を取った。
そして右手をバッと頭上きかかげる。
するとその手を中心として、ビリビリと空気が震え出した。
その瞬間、
ウウウウゥゥゥゥゥゥーーー
そんなけたたましい音が街全域に鳴り響いた。
狂三「この音が何の音か分かりま
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