第三章 悪夢
第12話 時間
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「うふふ。ごきげんよう、十香さん。少しわたくしとお付き合いいただけませんこと?」
ドレスを纏い、銃を握った少女、時崎狂三が、にぃ、と唇の端を上げながらそう言った。
上条「狂三……今、何をした?」
狂三「うふふ、素敵でしょう?これは『時喰みの城』。わたくしの影を踏んでいる方の『時間』を吸い上げる結界ですわ」
士道「時間を……吸い上げる?」
士道が怪訝そうに言うと、狂三はクスクス笑いながら歩み寄って、優雅な仕草で髪をかきあげる。
常に、前髪に隠されていた左目が露わになった。
士道・上条「「なっ……」」
明らかに、異様だった。無機的な銀色に数字と針。
そう、狂三の左目は時計そのものだった。
逆回転しながら、動いていた。
狂三「ふふ、これは私の『時間』……命、寿命と言い換えても構いませんわ」
上条「寿命……?」
狂三「私の『天使』はそれは素晴らしい力を持っているのですけれど、その代償として、一度使う度に膨大な私の『時間』を喰らっていきますの。だから時折こうして、外から飛び退いた補充することにしておりますのよ」
士道「な……っ」
上条「……!」
狂三の言葉に士道と上条は戦慄した。
それが本当なら、今、結界の中に倒れてる人たちは、残りの命を吸い上げられているということになる。
その時、狂三は何故だか少し寂しそうな顔をした。
だがそれをすぐに凄絶な笑みに戻し、指先で士道のアゴを持ち上げてくる。
狂三「士道さん、私はあなたと1つになるためにこんなところまで来たんですもの」
士道「1つになるって……どういうことだよ」
狂三「そのままの意味ですわ。あなたは殺したりなんかしませんわ。それでは意味がありませんもの。……私が、直接あなたを食べて差し上げますわ」
上条「(1つになる…….?食べる……?……それにあの一瞬見せた悲しそうな表情……、士道と融合することでもう他の人の『時間』を吸い上げなくても済むってことか?)」
上条はそう考えたが『食べる』という表現が文字通りの意味か比喩的なものかは分からない。
上条は思わず自分の右手を見てしまった。
狂三「随分自分の右手が気になるようですわね」
上条「……」
狂三は指先を士道のアゴに当てながら顔だけをこちらに向けてきた。
上条は右手をずっと見て、狂三の方を見ていなかった。すると狂三が上条に顔を向けて不意に言ってきた。
狂三「実は、当麻さんにも時間を吸い上げて殺そうとしたんですのよ?」
上条「……何!?」
上条は思わず狂三の方に睨みながら見てしまった。狂三はそんな上条に構わず言う。
狂三「ええ。それをしたのは、あ
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