第百七十九話 485年の捕虜交換
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雄で有る自治委員長リンチ提督の元で民主的な体制で自由、自立、自治、自尊の精神が皇帝陛下より認められているんだ!」
「我々捕虜もヘルクスハイマー伯爵の矯正区から皇帝陛下により助け出されてリンチ提督の元で英気を養うことが出来た上に、捕虜にも係わらず一人頭20万ディナール(4000万円)もの賃金が下賜されたのでから、皇帝陛下、皇女殿下様様です」
にこやかに答える将兵に唖然とするマスコミや情報部、此により完全に帝国の悪部は門閥貴族であり皇帝陛下は慈悲深いお方だとの報道がリアルタイムで流れてしまい、同盟の各地では騒ぎが起こっていた。
その放送はヴァンフリート星域で待機する同盟艦隊にも流れ、常日頃“俺がイゼルローン要塞を墜とし、長駆してオーディンを占領し皇帝を処刑して銀河帝国を滅ぼす”と大言壮語を吐きまくっているホーランド少将が立体TVを叩き壊していた。
その上、放送後にはホーランドを見る将兵が現状も知らない阿呆人と言う生暖かい目で見るように成っていた。
宇宙暦793年 帝国暦484年12月2日
■フェザーン自治領
フェザーンの商工会議所からしけた顔をした男が出てきた。その男を待っていたと思われる小太りの中年が声をかける。
「船長、どうでしたか?」
船長と言われた男は顔を歪めて手を翻す。
「どうもこうも無いな、借金の期限は一日たりとも待てないとさ」
吐き捨てるようにそう言うと男の顔にはありありと疲れが見える。
「船長、このままだと借金と税金で船がさし押されてしまいますよ」
「マリネスク、そうは言っても逆さにしても鼻血も出ない状態だしな」
「まあ、船長、そうならない為にも酒場でも行って伝手を当たってみましょうよ」
「そうだな」
そう言って酒場へ行った二人を待っている男がいた。
二人が酒場へ入ると、普段はいないような男達が酒場全体でそれとなしに酒を飲んでいた。
違和感を感じながらカウンターに座ると、黒髪でサングラスをかけた小柄な女が声をかけてきた。
「ボリス・コーネフ船長ですね」
コーネフは女を一別し話す。
「そうだが、あんたは?」
そう言われた女は懐から名刺を出し挨拶する。
「私は、銀河帝国ローエングラム星系で捕虜に関する事の全般を委託されている。エーリカ・ラウテンバッハと申します」
「そのラウテンバッハ氏が何の用です?」
「ええ、現在ローエングラム星系では同盟軍捕虜の自治委員会が有るのです。其処では捕虜の自治を尊重しているのですが輸送船までは流石に運行させる訳にも行かないのです」
「そりゃそうだろうな。逃げちまうな」
「ですな」
ボリスとマリネスクが顔を見合わせて頷く。
「其処で必要な物資を運行する船を探して居るのです」
ボリスもマリネスクもそ
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