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銀河英雄伝説〜ラインハルトに負けません
第百七十九話 485年の捕虜交換
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捕虜の交換が行われたが、同盟側随員とマスコミは捕虜や拉致被害者の姿に驚きを隠せなかった。

随員もマスコミも悪辣なる帝国に攫われた拉致被害者で有る以上、過酷な労働と極度の栄養失調でその体からは凡そ肉という物が消え去り骨と皮に痩せ細り爪も髭も髪の毛も伸びておらず太いのは関節だけでボロ雑巾の様な服を着て体は垢だらけ雲脂だらけノミとシラミに寄生され、全ての人生に絶望した姿を想像していたのにも係わらず。

皆栄養満点な食事を食べ過ぎたのか全体的にフックラとした姿で床屋でカットしたばかりの様な髪であり髭は確りと揃えられ、拉致被害者は小綺麗な服装であり、軍人はアイロンとノリがバッチリ効いた新品で同盟軍配布の礼服よりよほど高級な素材で作られた軍服姿で現れたのであるから驚きの連続であった。

更に、皆がにこやかな顔で船から下りて来るのであるから、暴虐なる帝国からやっとの思いで帰国できた拉致被害者と捕虜の姿を映し帝国憎しと言う世論を誘導しようとしたマスコミや主戦派はじたんだを践んで悔しがった。

その上に、マスコミが拉致被害者、捕虜にインタビューしたのであるが、その話はとても同盟内で放送するに耐えない話で有った。

「お帰りなさい。貴方は拉致以来どの様な生活をしてきたのですか?」
家族と共に荷物を持った壮年の男性は答えた。
「私は、宇宙暦762年にエル・ファシル近傍でフランケン侯の部隊に拉致されたのです。それ以来、農奴として侯の荘園で馬車馬のようにこき使われたのです」

「それは、御苦労様でした。帝国に対して今のお気持ちを御願いします」
アナウンサーにしてみれば此処で一番聞きたかった帝国の悪政を話す被害者に多くのマスコミがカメラを向けるが、次ぎの言葉に騒然とする。

「しかし侯の荘園から3年前に皇帝陛下のお慈悲により私を含めた全員が解放され、テレーゼ殿下の所領であるローエングラム星系へと移住が出来たのです。その上、陛下と殿下は私を含め皆の家族も探し出してくれて、こうして帰国させて頂くことが出来ただけでなく。全員に給料という名目で補償として一人頭60万ディナール(1億2000万円)も頂けるのですから、我が家だけで420万ディナール(8億4000万円)です。全く持って皇帝陛下と皇女殿下のお慈悲に我々は感涙しているのですよ」

家族と抱き合い涙ぐむ拉致被害者にマスコミは不味い物を言う顔で急に捕虜の方へ画面を切り替えるが結果は同じであった。
「矯正区の実態は酷すぎる、あれは地獄だ!」
そう言っている捕虜もその後の話しになると豹変する。
「矯正区は門閥貴族共が自分達が戦闘で得た捕虜を家畜のように使える人間と使えない人間とを選別する所だったんだ!ところが正規軍の捕虜に成った者は皇女殿下直轄領の捕虜収容所へ送られるんだが、彼処はエル・ファシルの英
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