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問題
第三章
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ではないのですか?」
 まずは予算を担当している財務省に向かった。そこの防衛関係を担当しているという若い眼鏡の官僚から聞いた言葉は彼にとっては唖然とするものだった。
「だからまああれで」
「いえ、高過ぎるんですけれど」
 思わずこうクレームをつけた。
「だからこうしてお話に」
「ですが。我が国の兵器はその多くが国産で」
「はい。集中的に作れば」
「安くなるんでしょうか」
 驚いたことに軍事関係を全く知らないのだった。それが言葉でわかる。
「それは防衛省からお話を聞いていますが」
「無理だとでも!?」
「残念ですが」
 言葉はオブラートに包まれてはいるがその意味のないものだった。それがかえって構成に事態の深刻さを伝えていた。語る方はそうは思ってはいないが。
「それに関してましては」
「財務省としてのお考えはそうなのですね」
「その通りです」
 今度は官僚とは思えないはっきりとした返事であった。
「申し訳ありませんが」
「そうですか」
「我々としても国防については考慮しているつもりです」
 彼にしては本気であり誠意のある言葉だった。構成にしろそれはわかった。少なくとも目の前のこの若い官僚が真面目な人物なのはわかった。しかしであるが。
「そのうえで充分な予算で」
「兵器に関しましてもですね」
「はい。財務省の見解はそうです」
「わかりました」
 こうまで言われては構成としてもこれ以上聞くことはできなかった。聞いても無益だとわかるからだ。だから彼はここで話を打ち切るのだった。
「それではそれで」
「はい。また何かあれば御連絡下さい」
 真摯な声で構成に述べてきた。
「お答えさせて頂きますので」
「はい。それでは」
「また」  
 こうして紳士的に別れの挨拶まで交えられたがそれでも構成が納得する筈がなかった。彼は今度は防衛省に向かった。そしてそこでのコメントは。
「いえ、我々としましてもですね」
 初老で髪の随分薄い男の人が出て来て苦い顔で彼に説明するのだった。
「それに関しましては」
「法整備もですか」
「はあ」
 実に頼りない感じであった。正直話をしていて大丈夫なのかと心の中で思いさえした。
「それはこちらとしても」
「防衛省として法案を提出していますよね」
 真剣な顔でその初老の官僚に問うた。
「他の省庁の様に」
「何分それは」
 また否定の言葉であった。
「これはオフレコですよ」
「はい」
 一介の学生に使う言葉かと思ったが。彼はそれを守ることにした。
「マスコミが色々と騒ぎますし」
「マスコミがですか」
「これは御存知だと思われますが」
「ええ」
 法整備まで知っていてそれを問題としている構成を見ての話なのがわかる。だからといって解決するような話でもない
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