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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
25.神意の妹
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。分厚い金属の隔壁を融解させた、
炎精霊
(
イフリート
)
の炎撃。
しかし眷獣の巨大な腕が、その攻撃をあっさり受け止めた。
「──
執行せよ
(
エクスキュート
)
、“
薔薇の指先
(
ロドダクテュロス
)
”」
無感情なアスタルテの声が聞こえる。
キリガ・ギリカの肉体から放たれる、炎の勢いが弱っていく。アスタルテの眷獣が、
炎精霊
(
イフリート
)
の霊力を奪っているのだ。
「貴様……儂の霊力を……喰って……!?」
キリガ・ギリカはついに悲鳴を上げた。
「肯定」
霊力を吸い尽くされたキリガ・ギリカは最後の力でギリギリで眷獣の巨腕を回避する。
しかしそれを読んでいたように小さな人影がキリガ・ギリカめがけて突進する。
「──
瞬虎
(
しゅんこ
)
っ!」
目にも止まらぬ速さで移動した唯の掌底に反応することすら出来ずにギリカ・ギリカは仰向けに倒れた。
倒れた彼の左腕──鉛色の手枷が発光し、そこから吐き出された銀色の鎖がキリガ・ギリカの全身を拘束する。そして老人の身体は虚空へと消え、やがて消滅した。
「──駄目だ。通じねえ」
突如として途切れた携帯電話の画面を眺めて、古城は悔しげに顔を歪める。
通話が途切れてから、かなりの時間が経っている。浅葱が誰かに襲撃されているとするならばかなりやばい状況だろう。
もし襲撃者の正体が監獄結界の脱獄囚なら、浅葱たちの命が危ない。
浅葱はただの高校生だ。監獄結界の魔道犯罪者に襲われているなら、無事にいる可能性はほぼない。
「くそ……だいたいなんで、浅葱が那月ちゃんと一緒にいるんだ!?」
ゲストハウスの外へ向かいながら古城が壁の殴りつける。
「落ち着け、古城。少しくらい冷静になれ」
エレベーターの壁に背を預けながら彩斗は冷静に呟く。
だが、内心ではあまり冷静ではない。古城たちからある程度の事情を訊いて今がかなりまずい状況だというのは、百も承知だ。
「それにあそこには、唯がいるんだろ。それなら少しくらいは安心だ」
「どういうことですか、緒河先輩?」
雪菜が銀の槍を握りながら、疑問を口にする。
「あいつは、対魔族武術っつうのを習ってんだよ。多分、そこらの吸血鬼程度なら軽々しく倒せるぐらいには化け物だぞ」
その言葉に雪菜たちは一瞬、言葉を出すことさえも忘れているようだった。
「それでも、いくらあいつが化け物だとして相手は魔道犯罪者だ」
浅葱、唯、那月の無事を願いながらエレベーターは降下していく。
「それにしても、なんで浅葱ちゃんと唯ちゃん、那月ちゃんが一緒にいたんだろ?」
友妃が銀の刀を手に握りながら、呟く。
「おそらく、藍羽先輩がキーストーンゲートにいたせいか
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