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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
観測者たちの宴篇
25.神意の妹
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な、唯。もう少しだけ待っててくれないか」
唯の頭を撫でる。
「アスタルテ、唯のことを任せていいか?」
「
命令受諾
(
アクセプト
)
」
「頼んだぞ、アスタルテ」
彩斗はアスタルテの頭を二、三度撫でて古城たちの元へと戻る。
するとそこでは、古城とヴァトラーが睨み合っている。
「はは……ははははは……ははははははははは!」
ヴァトラーが突然噴き出した。
苦しげに両腕で腹を押さえ、身体をくの字に折って笑い出す。
「まったく、なんて姿だ。見る影もないな、“空隙の魔女”──あはははははは」
「ヴァ……ヴァトラー……?」
古城は困惑に表情を歪める。
どうやらヴァトラーは、浅葱が護っていた少女が那月だということに気づき笑っているようだ。
「見たところ、キミも手負いのようだね、古城」
そしてヴァトラーはこちらに顔だけを向けて彩斗を涙を拭いながら見る。
「キミもだよ、彩斗。そんなキミたちで彼女を護りきれるかい?」
「なにが言いたい?」
警戒心を高めながら、彩斗は訊く。
だが、正直いって古城と彩斗はどちらとも全力で戦えるわけではない。普通に脱獄囚と戦って、護れるかどうかもわからない。
しかし
特区警備隊
(
アイランド・ガード
)
の主力部隊は壊滅状態だ。
そんな状態を見透かしたように、ようくな口調でヴァトラーが告げる。
「彼女はボクの船で預かろう」
「「……は?」」
「もちろんキミたちも一緒にくればいいよ。そのほうが愉しめそうだしね」
思いがけないヴァトラーのていあんに、彩斗と古城は言葉を失った。
しかし、すぐに彼の真意に気づいた。監獄結界の脱獄囚たちは、那月の命を狙っている。
ヴァトラーはそいつらと戦いたくてウズウズしている。
「脱獄囚たちの狙いが彼女なら、連中はまた必ず襲ってくる。市街地にいれば、一般人を巻き込むかもしれないな。それよりは安全だと思うが、どうかな?」
「おまえが那月ちゃんの護衛につく……ってことか」
古城は考え込む。ヴァトラーを信用はできない。
だが、彼が護衛につけば気安く脱獄囚たちも襲ってくることはないだろう。そうやって時間を稼げば、那月を元に戻す方法が見つかるかもしれない。
彩斗は一度、古城とアイコンタクトをとり、口にする。
「……わかった。その話に乗ってやるよ」
だが、この状況でヴァトラーがどんな形であれ味方についたことは大きい。
「はあ!? ちょっと、あんたたちなに勝手に決めてるのよ!? つか、なんで彩斗と古城が“戦王領域”の貴族と知り合いなわけ!?」
これまで静かに話を聞いていた浅葱はもう限界だったようだ。
「いろいろ事情があるんだ
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