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徒然なるバカに
動物って大概、光り物や貴金属を集めたりするじゃん
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「……だれもいないじゃないのよ」

明かりが付いたそこは、昼間と対して変わらない風景。唯一違うのは人がわたし以外に誰一人としていないと言うこと。

「本当だな。私たち以外にいないでわないか」

理沙が先陣を切って中に入る。

「ちゃんと見てみろって。ほら、そこの机の下」

と、誰の許可なく勝手に教師の椅子に座っている彼が指を差し、言う。

「机の下?」

理沙の後ろに付いていた美希と泉が屈み、机のしたを探る。

「あのね、大の大人が机の下になんかーー」

ーーいるわけがない。

そう言おうとした矢先、泉の甲高い声にかき消される。


「わぁーーッ!!子猫だ!子猫がいるよぉ♪」

大事そうに子猫を抱える泉。

「か、可愛いな」

「だな」

彼女らは三者三様の反応を示し、泉の元へと集まりキャッキャッ騒いでいる。思考が付いていかない。

「ちょっとまって、どういうこと?」

「どう……って、見たまんまじゃねえの?」

ギコギコと椅子を揺らしながら私の問いに答える。

答えになっていない。

「ん?あぁ、答えになってない、って言いたいのか?」

「よくわかったわね」

「そりゃそんな怪訝な顔で見られたらな」

と。

「おーい、花菱。そいつなんか咥えてないか?」

彼の問いに美希が口の辺りを探る。


すると、

「なんか咥えてるぞー」

「なにやら金物だー」

猫の口元を探っていた美希と理沙は各々言う。

「そういうこと」

そういうことーーってまさか今までのことは全部あの猫の仕業とでも言いたいわけ?

「聞いたことないか?猫って気に入ったものがあったら集める癖があるって、収集癖って言うのか?それが今回光り物、まあ貴金属の類いだったわけでーー」

と勝手に解説を始める彼。

「事に気付いた原因が金がなくなったことからだろ?それ以前からボールペンやらなんやなくなってたんだとさ、言われるまで気付かなかったらしいけど」

「気付かなかったらしい……って、あなた調べたりしたの?」

「そりゃな。確信が欲しかったわけだし」

彼はそう話を完結させると、椅子の背もたれによしかかり大きく背伸びを伸ばした。


呆れた。事の全てに呆れた。今回の犯人ーーいや、罪を犯したであろう猫にも。それに、この猫の存在に事前に気付き、猫の行動するであろう時間帯に、これだけの人数を警備員のいる学内へなんなりと誘導する彼にもだ。


「何はともあれ、一件落着だな」



これはその後日談。

その後、あの猫ーー泥棒猫がどうなったかと言うと。

「飼うことにした、ってこと?」

「貰い手が見つかるまでだけどな
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