第二章
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第二章
西安はかっては都だった。今では古都の落ち着いた雰囲気の中にある。唐代の繁栄を思わせる建物も残っていた。僕は空港に降り立つとまずそれ等の建物を見た。
「こうしてみると歴史ってまだ生きているんですね」
「そうですね」
ガイドさんは僕の言葉に相槌を打ってくれた。
「中国はね。歴史も古いですから」
「はい」
「歴史の影響は確かに残っていますね。特にこの街は」
「隋や唐の都でしたし」
「日本でも知られているのですね」
「それはね」
僕はそれに答えた。
「有名ですよ。僕も一度来てみたいと思っていました」
「来てみた感想はどうですか?」
「悪くないですね」
僕は答えた。
「いや、いい感じですね。気に入りましたよ」
「それは何よりです」
微笑んでくれた。
「じゃあ行きますか」
「あれ、何処かへ行くんですか?」
「ええ。ワインを美味しく飲める場所に行きたいと仰っていましたよね」
「はい」
「そちらへ行きましょう。少し遠くなりますがいいですか?」
「はい」
僕はそれに同意した。
「それじゃあ行きましょう。いいですか」
「美味しいワインが頂ければ」
「それでは」
こうして僕達はその美味しいワインが飲める場所へ行くことになった。西安から汽車に乗り蘭州へ向かった。どんどん西へ向かっていた。
「丁度シルクロードを通っているんですね」
「そうですね。かっては馬で行った道を今汽車で行っているのです」
ガイドさんはそう説明してくれた。
「どうですか。こうした旅も悪くないでしょう」
「いやあ、それはどうでしょうか」
「何かあるのですか?」
「実はね。あまり汽車は好きではなくて」
「あら」
「それよりも車の方が好きなのですよ」
「それは申し訳ありませんでした」
それを聞くと謝罪してきた。
「こうした旅も悪くはないと思っていたのですが」
「何かね、揺れるじゃないですか」
「はい」
「それが好きではなくて。けれど」
「けれど」
僕はガイドさんに窓を眺めながら答えた。
「この景色はいいですね。見ていて飽きません」
「飽きませんか」
「はい。帰りもいいですか」
「ええ、貴方さえ宜しければ」
「それではそれでお願いします。とりあえずは何か食べますか?」
「そうですね」
彼女はそれを聞いて考え込んだ。そして駅に止まると何かを買ってきてくれた。見れば饅頭に似た麦で作った食べ物であった。
「饅頭ですか?」
「餅です」
彼女は首を横に振ってそう答えた。
「麦を練ったものを焼いたのです。中国ではわりかしポピュラーなものですよ」
「へえ、これが餅ですか」
話には聞いていたが見るのははじめてだった。見れば中々美味そうである。
「一ついいですか?」
「幾つでも。
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