第一章
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われてもどうもピンとこない。
「中国ではどんな強いお酒がありますか」
「老酒ですね」
「ああ、コーリャンから作るやつですよね」
「はい。あれは強くていいですよ。どうですか」
「ううん」
問われて考え込んだ。
「どんな強さですか」
「日本酒より少し強い位ですかね」
「そうなのですか」
それを聞いてさらに深刻にならざるを得なかった。
「どうしたのですか?お悩みのようですけれど」
「いえ、実は」
僕は話した。実は日本酒以上のアルコール濃度の酒を飲んだことはないのだ。
「そうだったのですか」
「そもそもお酒自体にまだ慣れてはいないですし」
「それは残念ですね。けれど日本のお酒は飲めるのですよね」
「はい」
僕はそれは認めた。
「あまり飲んだことはないですけれど」
「けれどそれなら大丈夫だと思いますよ」
そう答えてくれた。
「大丈夫とは?」
「いえ。ワインのことです」
「ワインですか」
「飲まれたことはありますよね」
「はい」
何回かある。あまり高いものは飲んだことはないが。
「それなら大丈夫ですから」
「それはアルコール濃度のことですか」
「ええ。日本のお酒より薄いものもありますし」
彼女はそう言った。
「味も。ほら、日本のお酒って癖があるでしょ」
「ええ。あれもちょっと」
どういうわけかそれで日本酒は駄目なのだ。いい酒なら違うというがそれでも駄目だった。どうも酒というものは飲む者を選ぶものらしい。
「老酒もそうですからね。私はそうではないですけれど」
「羨ましいですね」
「あら、そうですか?」
そう言われると嬉しかったらしい。晴れやかな顔になった。
「実はお酒好きなのですよ。日本のお酒にも興味がありまして」
「そうなのですか」
「甘くて。甘いお酒っていいですよね」
「リキュールとかああいう甘さではないのですね」
「あれはあれでいいですね」
笑顔でそう答えてくれた。
「そうですか」
「はい。カクテルも好きですよ」
どうやら酒なら何でもいいようだ。だが僕も油っこくない食べ物ならそうであるので差はない。食べるか飲むかの差だ。それの何処が違うのかというと返答に窮する。
「とりあえず北京料理では・・・・・・。そうですね」
彼女は考え込んだ。
「羊もよく食べますからね。それですと赤はどうでしょうか」
「赤ですか」
「ええ。肉には赤でしょう」
「まあそう言われていますね」
今一つよくわからなかった。そういうものだろうか。
「お魚には白。これは御存知ですよね」
「というと広東料理には白でしょうか」
「さあ、それはどうでしょう」
だが彼女はそれには懐疑的だった。面白そうに笑った。
「何かあるのですか?」
「広東料理も結構バリエーションが
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