派遣社員になった訳だが……どうしよう
17話
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いるのか!?
しかも、凄まじい速度でこっちに近付いている。マントにサリエルの能力を追加し、一旦空中へ逃げるとしよう。
上に逃げてよく分かったのだが、地面から大量の黒い手がアラガミ達を次々と捕らえて引き摺り込んでいく。
正直、悪質なホラー映画のような光景だが、生憎とああいた現象はアラガミで見慣れている。が、あんな人間の腕そのもののような腕を攻撃として使うアラガミなど知らんぞ?
正体は分からんが、腕の持ち主はここのアラガミを喰う事に集中しているようで、当分ここから動きそうにない。正体を確かめたい所だが、今は後ろに抜けたアラガミを追うことを優先したい。
圧縮空気を放出して、抜けたアラガミを追うために一気に加速する。
その背後で静かに、だが確かに俺の耳に声が聞こえた。
「ミツケタ…」
俺がロシア支部の連中がいるであろう地点に辿り着いた時には、ゴッドイーター達は何匹かを逃がしてしまったようで何人かが後ろに走って行くのが見えた。
この先には街が点々とであれ数はあるので俺も追いかけたいのだが、下手に動けば俺の存在がフェンリル側にバレる。
いや、バレずとも今、この段階で人型のアラガミがいるという事を表沙汰にするのはマズイ。
くそっ!!
今ほど好きに動けない事を呪ったことはないぞ!!
その後、俺はゴッドイーターとは別の方向から大きく迂回して近くの街に侵入したアラガミを倒し、何人もの死体を見るハメになる。
生きながら喰われ、助けた時には手の施しようがない状態の人間に何度も縋られるハメになった。
先ほどから何人もの死に行く人にせめてもの慈悲としてトドメを刺し続けている、俺に出来たのはたったそれだけだった。
分かってはいた、俺一人で全ては救えない。何度も覚悟していたし、理解もしていた。
だが、いざそれを目の前にすると、心を引き裂かれるような痛みが俺を襲う。人の死は今までも見てきたが、それは助けることがそもそも出来なかった人の死だ。
そして、今回は俺にもっと力さえあればば助けるができた筈の人の死だ。救えるという可能性はあったのだ、それがあったにも拘らず救えなかったというのは理屈では無茶だと分かっていても、かなりこたえる。
二つ程街を周りアラガミを殲滅し終えた時、作戦用に渡された無線機から連絡が入った。
俺はそれの応答用のスイッチを無造作に入れて、誰からかの連絡に耳を傾ける。
「マキナだな」
どうやら、リンドウからのようだ。
悪いが、今は返事をするのも億劫なんだ。……連絡なら後にして欲しいな。
「言い辛いんだが……あんたの住んでいた街は、生存者1名だったよ」
その時、俺はやっと理解した。
俺は人の死に対して納得も理解もしていなかった、ただ他人事として傍観者ぶって深く考えないようにしていただけだった。
死とは途方もない喪失感を
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ