暁 〜小説投稿サイト〜
アラガミになった訳だが……どうしよう
アラガミになった訳だが……どうしよう
3話
[3/4]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
分落ちるはずだ。その状態で頭にコンゴウの空気弾を打ち込めば体勢を崩すのにそう手間は掛からんだろうし、あわよくばそのまま坂を滑り降りてもらえると助かる。
幸い山はもう見える距離にある、この獣道で追いつかれさえしなければ逃げることは可能なのだ、ここで追いつかれないことを祈りつつ走り続けるしかない。
途中何度かウロヴォロスの複眼からビームが発射されたものの、どうにか腕を掠める程度にしか当たらなかった。
少々焦げたがこの程度ではこの体は痛みを感じないらしく、足を止めることなく逃げ続けられた。
だが、ウロヴォロスの一番厄介な触手が届きかねない距離までには詰められてしまった、これは正直かなりマズイ状況だ。
ウロヴォロスのビームは威力はともかく攻撃範囲はそこまでもなく軌道も直線的なものであるが故に、後ろから撃たれても多少横に体を逸らす程度で直撃は免れるが触手に関してはそうはいかない。
範囲、軌道ともに非常に回避が困難極まりないのだ。ゲームでは足元に潜り込めば問題なかったのだが、それはウロヴォロスを倒せる場合の戦法であり、今のような退却戦に置いては論外の戦法でしかない。
これから先、恐らく距離として1km程はウロヴォロスの触手の突き、払い、叩きつけその全てを回避しなければならない。
一撃でも当たれば運が良くても手足の一、二本は確実に使えなくなる重傷を負わされる、運が悪ければ一撃で完全に行動不能にさせられて一巻の終わりだ。
既に三回ほど触手の叩きつけを回避しているが、かなり危険と言わざるをえない。
それでもアラガミの身体能力のお陰で三回避ける内に山道までの距離は半分を切った、ウロヴォロスが叩きつけを三度外したこともあり僅かだが距離を空けることができた。
油断するつもりなど毛頭ないが、この逃走劇にもようやく終わりが見えてきたことは確かだ。
あと二回やつの触手を回避できれば山道に逃げ込める、その二回で最後だ。
まず一回目、風を切る音が聞こえる。当たれば死ぬ、掠ったとしても詰む、賭けとしては分が悪いどころではない。この体が人間であったなら心拍数は跳ね上がり、握り締めた両手は汗が滲み出ているだろう。
が、この状況をどこか楽しんでいる自分がいる、この世界に来る前には決して体験できなかった恐怖、それが今自分は生きているのだとかつてない程に実感させる。
体の隅々まで血が通っていると実感できる程に感覚が研ぎ澄まされ、周囲の時間が酷く緩やか進んでいるのように感じられる。
その感覚のままに俺は右に跳んだ、どうやら今度の攻撃は突きだったらしく鋭く変化した触手が視界の端に見えた。
あと一回、それでこの危機から逃れられるそう思うと気が引き締まる、この一回に今までの全てがかかっているのだから当然といえば当然だろう。
先程突き出された触手がウロヴォロスの方へ戻っていく。
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ