第二十一話
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……《ショウキ》……聞いたこと無いわね……」
「いや、それ俺だ」
「へ?」と目を丸くしながら自身を指差す俺を見て、少女店主は俺が言わんとしていることを察したようだ。
「これ作ったの、あんたなの?」
「ああ。……と、言っても本職は鍛冶屋じゃないからな。いい加減強化とかが限界なんで、本職に頼みに来たわけだが……」
……駄目だったんだよなぁ、というイントネーションで言葉を切り、少女店主の悔しげな反応を見て楽しむ。
「それに固有名《銀ノ月》って事は、あんたが傭兵《銀ノ月》?」
最後に銀ノ月を一瞥し、俺に手渡しで返してくる。
今の最前線の層は、第六十層。
中層〜上層を主な活動場所としているため、47層にいる少女店主が俺のことを知っていてもおかしくない。
「ん、ああ。傭兵《銀ノ月》だ」
武器の名前と二つ名が被っているから面倒なんだよな……全く、誰だ考えた奴。
手渡された日本刀《銀ノ月》を、いつも通りに腰に差す。
「じゃ、そんなわけで……」
「待ちなさい」
立ち去ろうとした俺に、少女店主が控え目な声で微笑みながら呼び止める。
だけどおかしいな、何故少女店主から異様なオーラが見えるのだろう?
――例えるならば、この前倒した五五層のボスである、《ザ・ヘルバーナー》を前にした時の圧迫感に似たオーラが……!
「……本職の鍛冶屋じゃない奴が、私の手に負えない、最高傑作を超えてる物を作ってるなんて……!」
フォースの暗黒面に取り込まれたかのように、負のオーラを増大させる少女店主を前にして、真剣に《縮地》で逃げることを考えたが、そこまでする必要はない。
普通に立ち去ろうとしたところ、俺の前に回り込みつつ、俺の顔の前に指を突きつけてきた。
――速い。
「言っておきますけどねぇ! 私に強化を任せてくれれば、なんでもスパスパ斬っちゃうカタナに強化出来るんだから!」
「……ほう」
少女店主から負のオーラが四散し、明らかに無理をしている様子へと変わる。
「あっ! その目は信じてないわね……舐めないでよね、これでも鍛冶スキルはマスターしてるんですからね!」
鍛冶スキルをマスター。
それはつまり、鍛冶スキルを最大値である1000まで上げきったということ……俺も鍛冶スキルを上げているから分かるのだが、鍛冶スキルを上げるにはかなりの時間と根性がいる。
どれだけスキル熟練度を上げても、最終的な結果は運任せ……スミスの気合いという説もあるが……なので、一級の鍛冶屋には時間・根性・運・(気合い)の三つ、あるいは四つのプレイヤースキルが必要だと言って良い。
そして、俺の目の前にいる少女店主は、その見た目に反してこんな一等地に店を構え、あの《
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