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ファイナルファンタジー1
7話 『蝕まれる者』
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「効いてない……?! そんなっ」

「少し、宜しいでしょうか」

 メイドらしき女性は、ランクの両腕に支えられたマゥスンに近寄り、その額に片手を宛がう。

「 ────! これは……、酷い熱を出されているようですね」

「どーすりゃいい? コイツ、何かヤバいのかッ……!?」

「私がお仕えしている屋敷へ、どうぞ皆さんいらして下さい。……旦那様は旅に出ていてお留守ですので、遠慮なさる事はございません。その方を、早くお部屋へお連れしましょう」

 3人は他にどうする事も出来ず、女性に促されるまま屋敷へ案内される。





「申し遅れましたが、私はこの屋敷に仕えているテューテと申します。ここクレセントレイクは身分の高い方々が住まわれる町で、

ほとんどがお屋敷の造りになっていて人気(ひとけ)がないように思われますが、普段屋敷の中で過ごされる方ばかりなので、

遠出するにも魔物が出ますから使用人以外に外出される方はほとんどおられません。

そんな中、私がお仕えしている旦那様は1人旅をして廻るのがお好きな方で、お屋敷にはちっともお戻りにならないくらいで ────すみません、私ばかり勝手に喋ってしまって……」


 部屋を1つ提供してもらい、そこのベッドにランクが抱え運んだ意識の無いマゥスンを横たわらせ、様子を見守る3人。

クレセントレイクでもひと際大きな屋敷で、使用人に任せきりで主はしょっちゅう旅に出ているらしいが、ここへ来て突然倒れた赤魔道士マゥスンを案じるばかりで、メイドのテューテの話はあまり耳に入らないシファ、ビル、ランク。


「わたし、もう一度白魔法かけてみるね。<ケア…… 」


「 必要、無い……… 」

「 え、マゥスン……!?」

 シファが再び回復魔法を掛けようとした時、意識を戻したマゥスンがおもむろに上体を起こした。

「いけません……! 高熱を出されているのに、急に起きたりしては──── 」

 テューテが優しくベッドに寝かし戻そうとする。


「 私に、構わなくていい……… 」


「オマエ……、勝手に倒れといてそりゃねェだろッ」

 つい口調が強くなってしまうランク。


「 ………… 」

「ま、マゥスンさん起きちゃダメでス…っ?!」

「そうだよ、まだ寝てなきゃ……!」

 ビルとシファの制止も聞かず、ベッドから起き出たマゥスンはおぼつかない足取りで部屋の出口へ向かって行くが、その場でくずおれる。

「どーゆうつもりだ赤魔、大人しくしてやがれッ!」

 駆け寄るランクだが、知らぬ間に開け放たれていた部屋の入口に、何者かが佇んで居るのに気付く。

「 だ、誰だアンタ……?」

「 ─────!」

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