第131話 孫家の人々
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南袁家出身の袁公路様が俺みたいな何処の馬の骨ともしれない奴を士官させるわけないじゃありませんか」
「悪かったわね。どうせうちは名門じゃないわよ」
孫策は目を座らせ韓当を恨めしそうに見た。韓当は孫策の態度に困った表情をする。
「そんなつもりで言った訳じゃないですって」
「じゃあ、どういうつもりな訳? おばさん! お酒お替わり頂戴」
孫策は韓当に絡んできた。韓当が彼女の手にある徳利を除くと既に空になっていた。
「伯符様、そろそろ切り上げた方がいいんじゃないですか? ちょっと飲み過ぎかなと」
「ああぁん?」
孫策は眉を寄せ不機嫌そうな表情で韓当の顔を覗き込む。酒に寄った孫策はしつこく韓当に絡んできた。
「伯符様、お替わりですよ。これで終いにしないと体に毒ですよ」
「うん、おばさん。ありがとう! おばさんだけよ。私のこと気遣ってくれるの。母様も蓮華も人使い荒いのよ。祭はちゃっかし遊びに抜け出すし、私って不幸と思わない?」
今度は韓当の妻に絡んできた。
「ふふ、伯符様は頼りにされているのですね」
「そうなよね。頼りにされるのは悪い気はしないんだけど大変なの」
韓当の妻は孫策を軽くいなすと店の奥に下がっていった。
「韓当! お前が士官してくれないから私が遊びにいけないじゃない。どうしてくれんのよ」
孫策は韓当に意味のわからないことを言った。それに韓当は困った表情を返す。
「そりゃ、すいませんでした」
韓当は孫策に苦笑いをして返事した。孫策は新しい徳利に手をかけ猪口に並々と酒を注ぐと溢れないように気を付けながら酒を啜っていた。
「伯符様、成るようにしかなりませんて。まあ、生きてりゃいいことありますよ」
韓当は孫策を慰めるように言った。孫策は韓当の言葉に反応せず不貞腐れたように乾き物を頬張り酒を啜る。
手のかかる酔っぱらいと化した孫策の対応に韓当が困っていると店に客が入ってきた。その客を見た韓当の表情は固まる。その人物は孫策の妹・孫権だった。彼女は孫策の姿を確認すると般若の様な表情で凄い勢いで近づいてきた。
「雪蓮姉様! もう、こんなところで油を売って。未だ仕事が残っているんですよ!」
孫策に近づくなり孫権は矢継ぎ早に話した。孫策は孫権の声に一瞬体を硬直させるが、ゆっくりと孫権の方を向く。
「あらぁ。蓮華じゃない」
孫策は気まずそうに孫権に笑いかける。
「『あらぁ。蓮華じゃない』じゃないです。早く城に戻りますよ」
孫権は酒代の代金を席の上に置くと、孫策の手から猪口を奪い引きずるように連れて行こうとした。
「蓮華、ちゃっと待って。未だお酒残っているの」
「雪蓮姉様。仕事が終わってからお願いします」
孫
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