第131話 孫家の人々
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ながら手に持つ猪口の酒を揺らす。その後、猪口で五杯分を勢いよく飲み干す。余程、酒が飲みたかったのだろう。
「ねえ、おじさん。そう思わない」
愚痴る孫策は店主を座った目で見る。既に少し酔いが回っているようだ。
「仲謀様は孫家のために頑張っておられるだけじゃないでしょうかね」
「何よ! それって私が頑張ってないっていうの?」
孫策は再び店主を座った目で見る。先ほどより視線に凄みが加わっている。店主も孫策の様子の変化を感じ取ったのか冷や汗をかいていた。
「伯符様、滅相も無い」
店主は手を振り必死で否定する。
「罰として面白い話をお願いね」
孫策は快活そうな笑みを浮かべ店主を見た。
「伯符様はどんな話を聞きたいんです」
「面白い話!」
孫策が無邪気に答えると店主は困った表情を返した。
「そういや。数日前、大守様と伯符様は安城を根城にする盗賊一味を討伐したそうじゃないですか。その時のことを詳しくお聞かせ願えませんか?」
「人身売買を生業にする下衆な奴等だった。胸くそ悪い連中だったから一人残らず撫で斬りにしてやったわ」
孫策は憮然とした表情を浮かべ店主を見た。店主は気まずそうな表情になり目を泳がせた。
「そりゃ難儀なこって」
「散々、人を誘拐しておいて、自分が殺される状況になったら情けなく命乞いするんだもの。勿論、自分のやったことを後悔するように殺しにしてやったわ」
孫策は猛禽を彷彿させる力強い眼で店主を見た。店主は孫策の視線に動じることなく、真面目な表情で彼女の言葉を黙って噛み締めるように聞いていた。孫策の気勢に気圧されることのない店主はとても市井の者とは思えなかった。
「おじさん、母様の誘い考え直してみない」
孫策は唐突に言った。店主は孫策の言葉に真剣な表情で顔を左右に軽く振った。
「大守様の気持ちは身に余る光栄ですけど、俺はこの店の店主で満足しているんですよ」
「駄目か〜。まあいっか! 韓当が私達に加わってくれると心強いと思ったんだけどな」
「俺は戦の経験なんざ大してありませんぜ。ものの役に立つとは思えません」
「私の気勢に気負うこともないくせによく言うわね」
孫策は笑いながら韓当に言うと、乾き物の小魚を頬張り酒を飲んだ。
「韓当は南陽大守に興味があるの?」
孫策は韓当に目を合わせることなく聞いた。
「興味ですかい。俺達下々の者達と一緒に苦労を共にしようなんて大守はそうそういないんじゃないですかね」
「そう」
孫策は短く言うと猪口を乱暴に掴み酒を?っ食らった。その様子を見て韓当は慌てて喋る。
「伯符様、勘違いされてないですか? 袁南陽大守に仕えようなんてこれっぽっちも思っていませんぜ。名門汝
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