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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
A's編
第八十八話 覚悟と選択する道 後編
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もしれないが、ここまで迷っていることがアルフにはあまりに意外であった。

 だがフェイトは静かに首を横に振る。

「士郎のこと、驚かなかったって言ったら嘘になるけど納得も出来るんだ。
 ジュエルシードを壊した時苦しんでいたのも、母さんがアリシアのためにしようとした事を止めたのも、今ならこれが理由なんだってわかる」

 フェイトは士郎の過去をどこかで納得していた。

 多くはないが目にしてきた士郎の戦闘。
 その中で見せた動き、判断力、技術。
 どれも洗練されたものであった。

 そして、なにより魔導と違い非殺傷設定がない殺し合いという中において躊躇いや迷いがなかった。

 士郎が戦いや殺し合いに快楽を感じるような性格ではない事は理解している。
 それでなお躊躇いや迷いがないということは自然と答えが出てくる。
 自身の中に相応の覚悟を持っているか、命のやり取りの経験を積み抑制できているか、どちらか両方だ。

「もし私が見知らぬ人をなのはや母さんを守るために殺せと言われても私は、躊躇ってしまう。
 でも士郎はきっとそれが出来る」

 事実、士郎はそれが出来るだろう。
 仮に百人の命のために自身の命を捨てるとしても躊躇なく自身の心臓に剣をつきたてる。

 だからこそ

「私は迷ってしまうんだ。
 士郎はきっと私達が一緒にいられないと拒絶しても静かに受け入れると思う。
 逆に一緒にいたいといえば受け入れてくると思う」
「うん、士郎は一緒にいたいって言えば受け入れてくれるよ。
 何を迷うんだよ」
「受け入れてくれた後、士郎はきっと士郎より弱い私達を守ってくれると思う。
 でもそのせいで士郎の足を引っ張ってしまう。
 もしかしたら庇って傷ついて命を落とすかもしれない。
 そうなったら私は……」

 共にいたいという気持ちを伝えるのを躊躇ってしまう。

 士郎の傍に自身がいることで足手まといになることを考えてしまう。

 あの遠い背中を見つめて守られるだけで、隣に並んで歩むことが出来ないのではないかという不安がフェイトの決意を鈍らせていた。

 アルフはようやくフェイトの迷いと不安を理解した。
 それと同時にフェイトの思いはよくわかっていた。

(確かに士郎の強さは底が知れない。
 だけどここで諦めて下がったらフェイトはずっと後悔する。
 でもどうしたらフェイトを説得できるかな……あ〜、私はこういう頭を使うことは苦手なんだけどな。
 もっとフェイトもわがままでいいのに、なのはやはやてだって士郎と対等に横に並んで戦えないと思うし……)

 そんな中でどうやってフェイトを説得したものかと内心で頭を抱えていたアルフにいい案が浮かんだ。

「フェイト、諦めたら駄目だよ」

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