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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第八八幕 「雛鳥・前編」
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がる。楽しいことと損得勘定は両立させた方がいい、とクラースも言っていたことを思い出したラウラは、余計なおせっかいを焼くことにした。

さて、プライドの高い人間ならここで反感を覚えるかもしれない。だが向上心があるなら、この会話から更に情報を引きずり出そうと食いつく。彼女は、食いついた。

「前に見た練習試合なんですけど・・・特に佐藤さんとシャルロットさん。あの二人はいつも相手を見てるんです。意識やハイパーセンサーだけじゃなくて瞳がっていうか・・・相手が凄いスピードで突っ込んで来たり銃弾が顔の近くに来たら、反射的に目をつぶっちゃうじゃないですか」
「ああ、ハイパーセンサー越しで正面以外を見ていても、多くの生徒は反射的に身をすくめたり目をつぶっている」
「だから、あの二人は何が来ても動揺しない、心構えが・・・あるんじゃないかと・・・」

確信があったわけでは無いようで、言葉は尻すぼみになっていった。誰に教わったわけでもなく、独学でそう思ったらしい。だがそれは間違いではない。眼をとじないという行為から導き出した「心構え」というワードはまさに、彼女が銃撃を受けながらもリカバリ行為へと移れた理由だろう。
人は覚悟があれば、攻撃に耐えられる。耐えられれば思考や行動に余裕が生まれ、余裕を別の思考で埋めれば戦いで有利に働く。だからこそ意識外の衝撃には脆くもなるが、覚悟も無しでは動く的と同然である。痛みが怖くてISで試合などやっていられない。

「間違っていないぞ、それは。自信を持っていい。そのような心構えは成長に繋がる」
「ほ、本当ですか!?」
「ただ、お前はまだその覚悟が何の役に立つかを理解していない。だから体勢を立て直す時に隙が生まれたのだ」
「・・・そう、ですね。勉強不足でした」

ハンドガンを封じされて思考が停止したのも、それが原因だ。生まれた余裕をどう使っていいのかを理解できていなかったが故のミスだろう。だが、スタートラインは自力で見つけている。そこが彼女の可能性だろう。沈む彼女の肩を軽くたたき、微笑みかける。

「不足分は今から勉強すればいいさ。何ならもう少し付き合ってもいいぞ?差し迫った用事はないし、時間にも余裕がある。その中で答え合わせをしていけばいい」
「・・・・・・は、はい。その、ヨロシクオネガイシマス・・・」

・・・おや、彼女の顔が少し赤いような。それにちょっとぼうっとしていて、眺めるように私の顔を見ている。これは・・・ふむ。確信はないが、「女相手でも色仕掛けが通じる時がある」と教官が言っていたな。恐らく彼女にもそっちの気はないだろうが、私の笑顔が効くのなら後々で役に立つかもしれない。実際、教官も時々融通を利かせてもらうために笑顔を利用していたし。
などとクラースに毒されたようなことを心の隅に情報を沈めつつ、
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