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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第八八幕 「雛鳥・前編」
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いた。実際に撃ちはしない。そんなことをせずともシミュレータはきっちり判定を残してくれるものだ。
「BANG!・・・とな」
「・・・参りました」
本気を出すまでもなく、機体性能・実力ともにラウラが負ける要素は無かった。祭典は確かに1年生の中ではそれなりに見どころのある生徒だが、如何せん専用機持ちとは経験も才能も違い過ぎる。現時点では余程ひどい慢心でもしていない限り、どんな策を弄しても地力で勝つだろう。
そのことを全てわかった上で、ラウラは敢えて言わない。実力も才能もないが勝とうとする人間には2種類いる。一つはただがむしゃらに可能性に縋り続ける”だけ”の者。もう一つが、自分の能力と現状を把握したうえで可能性を模索する者。ラウラに見る限り、彼女は後者に近い。そして後者は、クラースの好きなタイプだ。
そう言うタイプは・・・・・・ついついお節介を焼きたくなる。
「一発も・・・当てられませんでした」
「それは当然だ。私は2年以上前からISに乗っているのだぞ?・・・・・・まぁ、その回避能力の上を行くのがあの人だがな」
「佐藤さんですね・・・・・・私、10年経っても佐藤さんには勝てないような気がします」
「やめるんだ伍和。皆内心ではそう思っているんだ・・・あの人は比較対象にしてはいけない」
「で、ですよね!やっぱり佐藤さんは普通と違いますもんね!」
本人が聞いていたら泣くんじゃなかろうかと思える扱いである。咄嗟に呟いた一言だが、ラウラの言う事はあながち嘘ではない。佐藤さんの空中機動テクニックの向上ぶりはいささか常軌を逸している。
何で高々数か月の自主訓練だけであそこまでの上達を見せたのか、千冬やクラースでさえ分からないのだ。才能としか言いようがない。単騎がけの勝負で彼女にまともに銃撃を当てられるのはセシリアとジョウ位のもので、他はシャルと簪がなんとか命中させ得るといったレベルである。
まぁそんな異常才能は一先ず置いておき、ラウラは今日偶然訓練に付き合ってあげただけの祭典を見る。その手はかすかに震える握り拳を作っている。それは現実という壁に打ちのめされた者のそれではなく、まだ闘志燃えるる人間の行為だ、とラウラは思った。彼女は今、弱い自分でも相手に勝つための方程式を必死で組み上げている。そうしなければ自分が勝てないと知っているからだ。そういう子こそ、稀有でもある。何故ならば、人は直ぐに妥協や諦めを選び、弱い自分を鬱屈した精神で正当化しようとする。腐らず折れない心は非凡なのだ。
「銃撃をした時、目を閉じなかったな。あれは意識的にやったことか?」
だから、この子はきっとクラースの生徒と近いものを持っている。ここで放っておいて腐らせるよりも、アドバイスを与えて伸ばした方がきっと楽しい。そしてここで出来た縁は、恐らく将来に繋
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