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【IS】何もかも間違ってるかもしれないインフィニット・ストラトス
闖入劇場
第八八幕 「雛鳥・前編」
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た。”あの事件”以来、ベルーナは惰性に生き過ぎた。人から逃げ過ぎた。そんな自分が、ミノリと並びたいと訴えているのだから、それは叶えるべきことではないか?

そう思うからこそ、ベルーナは進むのだ。

・・・ただ、モナルカの髪飾りを装着したベルーナの写真はまだそれほど出回っていなかったためか、学園内のベルとも会にぴったりマークされた所為でなんとなく気分が悪くなってしまったが。



 = = =



集中、集中、集中・・・倒す倒されるは考えない。ただ集中、そして予測。一挙手一投足の見逃しは許されないし、倒されるは考えなくとも死なないは考えておく。事前情報のチェックも行うし、人となりや経歴にも目を通す。だが、本気は出さないし切り札も使わない。ただ、目の前の対戦相手から髪の毛一本分でも多く情報を引きずり出し、糧として貪る。そして、相手の喉笛を噛み千切るその瞬間まで相手を欺き、自らは韜晦(とうかい)し続ける。

ラウラ・ボーデヴィッヒは兎を名乗る。だが、狼に育てられた。だからそれは兎の皮を被った狼でも、狼の皮を被った兎でもない。「どちらなのか確信が持てない存在」である、其れを以て善しとする。そうしておけば相手を騙せるのならば、どちらであると確認する必要もない。

その方が好都合ならそうしろ。思い付きでもなんでも使って相手を翻弄し、必ず生きて帰り、本当の本当に負けられない時だけに必要な力を使って生き残り、それをさらに情報的、経験的な武器として流用できないかを頭の片隅で練る。そう、ドイツで教官に教えられた。

だから、その考えをおくびにも出さず、”模範的なドイツ軍人”として相手の攻撃を避けてドルヒ・カノーネで応戦する。素早く引金を2回、光学兵器でありながらチャージインターバルが殆ど存在しないこの銃の使い勝手の良さは驚嘆に値する。佐藤さんとの一戦より更に照準に磨きをかけた成果か、それとも佐藤さんが特別だったのか、二条(ふたすじ)のビームは狙い通りの場所に着弾した。

「きゃあっ!?うっく・・・・・・まだ、まだ!!」

対戦相手―――偶然出会い、訓練に付き合ってほしいと頼み込んできた伍和(いつわ)祭典(まつり)という子は、ビームで表面が抉れた打鉄のシールドから伝わった衝撃を辛うじて受け流し、体勢を立て直す。ビームが直撃しても目をつぶらなかった度量は褒めてやりたいが、リカバリが遅い。もたついた一瞬の隙を逃さぬようにワイヤーブレードを射出し、軌道を上手く曲げて打鉄の左腕に巻き付けた。反撃用に展開したハンドガンを封じられたことで更に動きが鈍った祭典の顔が一瞬だけ凍った。

「隙ありだ」
「・・・!しまっ―――」

気付いたその時には、短距離加速(クイックブースト)で近付いたレーゲンのドルヒ・カノーネが伍和の胴体に突き付けられて
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