第一部 学園都市篇
断章 アカシャ年代記《Akashick-record》
??.----・error:『Nyarlathotep』
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も通りに。彼の誓約、『女の子に優しくする』のままに――――どちらの『少女』に対しても。
多少の好意を見せてくれる飾利にも、自分を嫌う黒子にも、同じように笑うように。へらへらと、軽口を叩いた。
『――――――――やれやれ』
呆れたように、楽しむように。何処へともなく消えた『影』に、気付く事もなく。
「俺は、嚆矢だ。宜しくな」
重ねられた二つの『右手』と、握手する。それに、二人は揃って不思議そうに。
「……名前。そう、名前」
「名前。ああ、名前……」
黄金の少女は、歓喜するように。握り返す掌は、煌めくように。
純銀の少女は、不貞腐るように。突き放す掌は、煌めくように。
「わたしはね、『二十六文字の賢者の石』って言うのよ。御父様が、そう仰ってたの」
応え、にこりと笑う少女。無邪気な笑顔で、『無垢』そのものの彼女――――『二十六文字の賢者の石』と名乗った『彼女』と。
「ワタシはね、君なんて要らない。君も、私なんて要らないでしょう? どうせ最期は全てワタシに還るんだから、名前なんてモノは意味がない。御父様が、そう仰ってたもの」
応えず、つんとそっぽを向いた少女。不貞た仏頂面のままで、『無垢』そのものの彼女――――まだ名も知らぬ『彼女』は、相反しながら、だからこそ調律していた。
『そこまでだよ、宿木 嚆矢――――』
響く声。それは、誰の声だろうか。此処には、三人しかいないのだ。
では、その声は?
「ああ……ゴメン。どうも――――そろそろ、お別れみたいだ」
囁く声。それは、二人に向けて。残念そうに嚆矢は呟く。もう、目覚める時間だと。誰かに言われた気がして。
「もう、帰ってしまうの? まだ、貴方のお話を聞いていないわ」
「やっと、帰ってくれるの。もう、君に聞くべき事なんてないよ」
残念そうに、黄金の少女は右手を引く。辟易したと、純銀の少女は右手を押す。
それらの全てを見ていた――――
『さあ、また始まるよ。あの遊び場で、君の『クルーシュチャ方程式』が。また、終わりの時までさようならだ』
――月が、笑っている。姿の見えない、新月が。『黒い神』が、狂い果てた■■を嘲笑って――――――――
「また、来てね? 約束よ、こうじ? 次は、貴方の『物語』を聞かせてね。だってわたし、いつも――――」
「もう、来ないで。約束よ、コウジ。ここは、貴方の『物語』に記さないで。だってワタシ、結局は――――」
二人は、全く同じように。全く違う事を口に
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