第一部 学園都市篇
断章 アカシャ年代記《Akashick-record》
??.----・error:『Nyarlathotep』
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ねぇ頭ん中まで空っ風吹いてる莫迦と、テメェの腕を過信した上に敵を過小評価して負け帰ってきた莫迦。揃って、協力し合う事もやりゃあしねぇ莫迦共。こりゃあ、いよいよ『協同協会』も終めぇだな――――」
グシャリ、と『瓶』が握り潰され、砕けた。『缶』ではない、『瓶』が、である。更にその拳を押し込むと、飴細工のように鋼鉄のテーブルがひしゃげた。
「『具現』まで済ませてるなら、次は『顕在』だ。もしそれを許せば、更に厄介な事になる。この世の終わりが、目前になる」
その背中に満ちる怒気に、気圧された二人は――――どちらも、呼吸すら儘ならない。
「俺達の役目は、情けを掛けてやる事でも言い訳をする事でもねぇんだよ、木瓜茄子共! 俺達がやらなきゃいけねぇのは、『黒い神』の目的を何としても挫く事だ! 『カルネテルの使者』に見せ付けてやらなきゃいけねぇんだ、この世界は――――」
大気を軋ませるように声を張り上げ、天を衝くかのような大男が立ち上がる。
ガウンから覗く肌は、歴戦の刃金。切創に刺創、擦過創に裂創、熱瘡に凍瘡、刀創、銃創。傷の無い場所こそが、見当たらない。それは正に、この男が歩んできた人生の記録。
「――――人のものだ。絶対に……憐れな話だとは思うが、双子のどちらか一方だろうと目覚めさせる訳にはいかねぇんだ!」
地鳴りか雷鳴の如き宣言は、虚空を揺らす。それは、今此処には居ない誰かに向けた者であり――――……
『――――やれやれ』
その『誰か』は、今も、今も。何処とも知れぬ『闇』に包まれて、静かに冷笑を浮かべている――――――――……
………………
…………
……
水滴。無窮の虚空から霊質の一滴が、ポタリと。それに目を醒ました、天魔色の髪に蜂蜜酒の瞳を持つ少年が見たのは――――海岸。
「此所は……」
金色の塵が舞う、菫色の霧。夜明けの青に煌めく銀燐。星の煌めきだと気付いたのは、僅かに遅れて。
明瞭となりゆく意識がまず認めたのは、白く香しいロトスの花。そして紅いカメロテが、星を鏤めたかのように咲き乱れた海岸だった。
「あぁ――――やっと目を醒ましたのね」
「あぁ――――ついに目を醒ましたんだ」
声が降る。煌めく花と星の砂の褥横たわる彼の、背後から。全く同じ声色、しかし正反対のイントネーションで。
目を向けた先、混沌が渦を巻く宇宙の天元。宇宙を満たす霊質の波が押し寄せる、『揺り籠』で。
「驚いたわ。ここまで来てくれたのは、貴方が初めてなの。他の皆は、お外で震えてるだけなのよ?」
歓喜に、期待に満ちるソプ
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