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戦国異伝
第百六十九話 三方ヶ原の戦いその十一
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ておる」
「九千かと」
 石川が答えてきた。
「戻って来たのは」
「左様か」
「一万二千が出撃しましたが」
 石川は無念の声で言う。
「そのうちの三千が」
「死んだか」
「そして多くの者がです」
 死んだ者は三千、それに加えてだというのだ。
「傷ついております」
「御主達もじゃな」
 見れば十六将達も皆疲れ傷を負っている。家康にしても幾つかの傷がある。無傷な者はいないという有様だ。
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