第一部 異世界よこんにちは
第一章 僕は死んだはずなのに
第二話 神様よこんにちは
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人のほうから聞いてきたのだから、死んでいるのは老人も知っている。つまり、無意味な質問。
「お主は、死んでおるのか?」
「質問の意味が重複してますね」
自殺したばかりなのだから、生きているはずがない。先ほどと同様に無意味な質問。
「ならなぜ、実体としての身体を持っておるのかの?」
「っ!なにを言って……」
老人の言葉が耳に入った瞬間、僕は一瞬で血の気が引いたように感じた。コンクリートの地面に直撃し、身体がひしゃげ、骨々が砕け散り、脳髄を撒き散らした僕にはありえない感覚。しかし、実際には顔は青ざめていることだろう。僕には今確かに身体があるのだから。
「ふぉふぉっふぉ。青ざめてしまったのう」
「ど、どういう事ですか。これは」
一度死に、ないはずの身体が僕にはあり、僕の生前を知っているこの老人は何者なのか。その答えを、僕は持ち合わせてはいない。持ち合わせていないからこそ、そう質問する以外に選択肢なんてなかった。
「先ほども言ってであろうに。転生じゃよ、生き返りじゃよ。そのために、お主の身体を作り直したのじゃからのう」
僕を突いていた杖を戻しながら、老人はさらに言葉を続けていく。
「お主を生き返らせて転生するのじゃ。本来は輪廻転生にまかせ次生が決まるのじゃが、自殺しよったからのう。餓鬼道に落ちて行くところを捕まえておいたのじゃ。最近、自殺する者が多すぎるんじゃよ。このままじゃと、餓鬼道界から魂が溢れてしまうでのう。自殺者は無理やり転生させてバランスを保っとるのじゃよ。そもそも、お主らのいう輪廻転……」
「つまり、僕の転生は決定事項で、すでに身体は作り直したと」
「人の話を聞かぬのうお主は」
「それはお互い様ですよ。僕の意思を聞いてきたのに、それを尊重する気は皆無でしょう」
「ふぉふぉっふぉ。それはそうじゃのう、たしかにお互い様じゃのう」
僕が指摘しても、老人は長い白髭をさすりながらのん気に笑っている。
「ただし、お主を元いた場所に返すことはできんからの。あの世界でお主は死んだんじゃ、それは変わらぬ事実じゃからの」
老人がそういった瞬間、僕の足元になにやら幾何学模様の円形が現れる。そのさまは、アニメや漫画で見るような魔方陣そのものだ。それが今まさに出現し、なにやら青白い光を発しながらゆっくりと回転している。
「ふぉ?これはこれは、なかなか愉快じゃのう。ふぉふぉっふぉ」
「なにが愉快なんですか。また説明もなく、なにかするんですか?」
老人に質問している間にも、魔方陣のような何かは光を強めながら加速していく。
「これに関してわしは関係ないのう。どこぞの者が、お主を召喚しようとしておるだけじゃよ」
「召喚?」
「そう召
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