第一部 異世界よこんにちは
第一章 僕は死んだはずなのに
第二話 神様よこんにちは
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か。あるいは、ただの哀れみか同情か。後者ならば勘弁願いたいところだ。死んでまでこんな感情に晒されるのは不愉快極まりない。
「もう一度、以前のように、いや、それ以上に格闘技が出来るようになると言ってもそう答えるかの?」
「っ……なにを言ってるんですか?」
「ふぉふぉっふぉ。僅かに、間が空いたの」
僕が一瞬言い淀んだのを、この老人は見逃すことなく突いてくる。
「なら、生き返りたいと言ったら生き返してくれるんですか?」
生き返せるのなら、やってみればいい。人間にそんな力はないし、それに、どうせもう身体はスプラッターな状態になっているんだから、生き返った瞬間にここへ舞い戻るのがオチだ。
「じゃがお主の身体は、なんとも惨い状態になってしまっているようじゃの」
「なら生き返っても、格闘技どころか生きることすらできませんね」
僕が指摘をする前に、老人自ら僕の身体のことについて触れてきた。けど、なんでこの老人は僕の死んだ姿を知ってるんだ。
「身体が使い物にならないなら、もう一度作り直せばいいだけじゃ」
今のようにな、と老人は僕を杖で突きながら言う。
身体を作り直すといったか。この老人は、僕の身体はもともと作り物だったとでも言いたいのだろうか。小説やゲームならともかく、僕は父と母の間に生まれたれっきとした人間だ。僕が人間でないとしても、人間を媒体としたホムンクルスなんてものは夢物語もいいところだ。そんな技術は存在はしないし、まず、人道的に認可されることもありえないだろう。クローン技術というものは実際にあるが、それでさえ、人間への転用は認められていない。たしかに日本国内では植物や動物の実験で成功したと、何年も前のニュースで取り上げられたこともあったがそれだけだ。人間への転用については、今も昔も代わらずに根強い反対意見があり禁止されている。つまり、僕は人間以外の何者でもない、紛れもなく人間だということだ。
「お主は、もう少し頭が切れると思っていたんじゃがな……」
盛大な溜め息と共に、また杖で僕を突いてくる。
「さっきから、ツンツンと何なんですか?さすがに、鬱陶しく感じてきましたよ」
ボソッと、分からんのか、と言って肩をすくめて見せた老人は、今度は僕にハッキリと聞こえるように言葉を発した。
「お主は、立っておるのか?」
「地面があれば立つんでしょうね」
足場がないのだから、浮かんでいるような状態だとは理解している。
「お主は、ワシと話しておるのか?」
「今まさに会話していると思いますが?」
意味が分からない。話しているのは誰が見ても明らかだろう。
「お主は、生きておるのか?」
「死んでますよ」
生き返りたいかと、老
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