第十五話 白と黒の姉妹その二
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「車のことは今までな」
「考えたことなかったのね」
「そっちの方は」
「全然な、けれど車もな」
「そう、あると便利だから」
「特に少し田舎になりますと」
そうなるというのだ、ここで伸子は自分のことも話した。
「私も生まれは滋賀ですけれど」
「彦根だよな、伸子ちゃんの実家」
「はい、彦根の郊外です」
「郊外になるとな」
「もう車が必要になりますよ」
都心部ならともかく、というのだ。
「何かっていいますと」
「しかも家族だとな」
「はい、本当に」
そうなるというのだ。
「車は必要ですよ」
「そうなんだな、じゃああたしもな」
「先輩もですね」
「結婚して旦那と子供が出来たらな」
将来のことをここで話す薊だった。
「車持つか」
「先輩ご自身で運転されるんですか」
「駄目か?」
「いえ、確かに免許は必要ですけれど」
伸子もこう言いはする、だがだった。
「それでも結婚されたら運転はご主人がするものじゃないんですか?」
「あれっ、そうなのか」
「はい、家族ですと」
家族で何処か行くのなら、というのだ。
「交代することはありましても」
「基本旦那が運転か」
「はい、そうなると思いますけれど」
「そうなんだな」
薊ははじめて知ったという顔で伸子に応えた。
「家庭ってもんは」
「あっ、すいません」
伸子は薊の今の言葉にはっとした、それですぐに薊に謝罪した。
「つい」
「いいさ、これから作るからさ」
「これからですか」
「今は興味なくてもさ」
腕を組んでにかっと笑って返す薊だった。
「将来彼氏欲しいって思ってるしな」
「その彼氏の人とですね」
「結婚してさ」
そしてだというのだ。
「その旦那さんとな」
「一緒にですね」
「ああ、ドライブとか出た時にな」
買い物の時もそれに含まれる。
「旦那に運転してもらうからさ」
「だからですか」
「伸子ちゃんにはいいこと教えてもらったよ」
こう考えているというのだ。
「結婚した時の楽しみにしておくな」
「そうなんですね」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「あたし結婚出来るかな」
こうもだ、少し苦笑いになって言う薊だった。
「果たして」
「ええと、それは」
「何ていうかね」
伸子だけでなく朱美もだ、薊の今の言葉には少し苦笑いになってそのうえでこう薊に言うのだった。
「その辺りは」
「巡り合わせよ」
「じゃあ縁があったらか」
「はい、お会い出来ますよ」
「いい人にね」
「あたし一応な」
こんなことも言う薊だった。
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