第十五話 白と黒の姉妹その一
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美しき異形達
第十五話 白と黒の姉妹
薊は菫の闘いをはじめて見た日の夜は寮の自室でジャージ姿で朱美、伸子と話していた。朱美は紅茶を飲みつつ後輩達にこんなことを話した。
「私十八になったら車の免許取りたいわ」
「やっぱり便利だからですね」
「ええ、車の免許があるとね」
だからだとだ、朱美は伸子に微笑んで答えた。
「何かと便利だからね」
「そうですよね、最近車の免許持っていない人も多いですけれど」
「都会だとそれでもいけるからね」
「はい、バスに電車がありますし」
伸子は朱美に自分も紅茶を飲みつつ話す。朱美はピンクのひらひらとしたパジャマを着ていて伸子は少し野暮ったい感じの草色の上着とダークグリーンの膝までのジャージといったやはり寝る時の格好である。
「自分で運転することもないですから」
「大阪とか東京だとね」
「この神戸でもですね」
「かえって車があるとね」
「駐車場が必要になりますから」
「そうそう、駐車場のこともあるから」
「大変なのよね」
そのこともあって、というのだ。
「だから都会だとね」
「車はかえって邪魔ですよね」
「そうした人が多いわよね」
「そうですよね」
「ええ、ただね」
朱美は都会のことを話してからさらに言うのだった。
「私の実家のあるところは違っていて」
「先輩実家確か」
「ええ、香川の」
四国のその県出身だというのだ。
「溜池とおうどんのね」
「溜池ですか」
「そう、おうどんとね」
どちらも香川の名物とされている、特にうどんであろうか。
「そこの生まれだけれど結構田舎だから」
「車が必要なんですね」
「そうなのよ、だからそのこともあって」
「先輩免許取りたいんですね」
「そう、ただ高校にいる時はね」
その時はとも言う朱美だった。
「ちょっと無理ね」
「先輩遅い生まれですからね」
「一月生まれよ」
だからだとだ、朱美は自分でも話した。
「丁度入試とか卒業とかの時期だから」
「忙しいですよね」
「だから免許はね」
「大学からですね」
「八条大学に進学しようって思ってるの」
所謂エスカレーター式でというのだ、関西では近畿大学と近代付属高校の様な関係が八条大学と高等部にはあるのだ。
「あそこにね」
「じゃあ八条大学に入ってからですね」
「そうね免許取るのは」
「それで免許取ったら」
「実家帰ったら車あるのよ」
そこには、というのだ。
「だから実家に帰ってね」
「車に乗られるんですね」
「そのつもりなの」
「ううん、車なあ」
ここで薊は二人に言った。
「あれも便利だっていうな」
「そうよ、移動にも持ち運びにもね」
「やっぱり便利ですよ」
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