暁 〜小説投稿サイト〜
自殺をしたら魔王になりました
第一部 異世界よこんにちは
第一章 僕は死んだはずなのに
第一話 今日僕は自殺をします
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ない。あるのは、後頭部と下腹部への攻撃。そして、寝技くらいなものだ。それ以外なら何でもあり、さらに、空手同様に日本発祥であるというのも、僕の興味を引いた要因の一つだ。そして、僕は初めて空手以外の格闘技に手を出した。

 K−1を始めて僕は正直驚いた。空手のように、ポイント制(技は寸止めで当てない。ただルールにより様々)ではなかった。いや、知識としてはダメージ制(相手に直接技を決めることでノックダウンを狙う)だとは知っていた。だが、やってみるとその違いは歴然だった。

 最初はやはり僕は負け続けた。それでも、3・4ヶ月が過ぎたあたりで先輩に勝ててしまった。今までと違い直接殴る、蹴るができることで、僕本来の持ち味である一撃の重さが発揮できたのだろうと父は教えてくれた。それからは、今までとは180度世界が変わった。試合をすれば確実に勝ち、そのほとんどでKO勝ちを収めた。さすがに、一年のときはインターハイに間に合わなかったが、2年になり僕は当然のようにインターハイへの切符を手に入れた。

 インターハイでも、僕の快進撃は留まるところを知らなかった。初戦からKOを量産し、有力選手にも難なく勝利した。そして、決勝戦の当日。二度目の転機が訪れた。

 その日も何時ものように朝起きて、何時ものようにご飯を食べ、何時ものように試合会場へと歩を進めていた。そう、何時ものように。

 たまたま不運だっただけなのか。歩く僕を目掛けて、居眠り運転の車が突っ込んできたのだ。僕はそのまま跳ね飛ばされ、救急車で病院に運ばれた。幸い命に別状はなかったが、粉砕骨折や靭帯にまで損傷が及んでいて僕はなんの余儀もなく入院とリハビリを強要された。そして当然ながら、決勝戦は不戦敗に終わってしまった。

 それからは、地獄のような日々だった。幼少のころからやっていた格闘技を禁じらるどころか、ベットから起きることさえ出来ず、生理的な排泄にすら人の手を借りた。ようやくベットから起きられる様になっても、手足は思うように動かせず、食事とリハビリだけの生活が繰り返された。いくら時間が経っても良くならず、僕の精神はどんどん蝕まれ、ようやく日常生活が一人でも送れるようになって来たころ、主治医から格闘技はもう出来ないと断言された。主治医は、申し訳なさそうな顔をしていたが、僕からしてみれば、最初から言っておいてほしかった。僕はまたあの舞台に立つのを目標にしていたのに、一つの区切りが付いたとき、突然舞台への架け橋を落とされたのだ。なぜ言ってくれなかったのかと問い詰めもしたが、すまないと謝るばかりで答えは貰えなかった。

 そして、僕は何度も自殺を繰り返し、ついに今日の日を迎えたのだ。



 気が付くと、あと数メートルの所まで死に迫っていた。

 いっそ、走馬灯なんてものを見るよりも意
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