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兵隊の集め方
第六章
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第六章

「それでだな」
「次には福祉や社会保障をさらに充実させました」
「軍の中のそうした制度をです」
「厚生も充実させましたし」
「住居も」
「そうしたこともか」
 王は二人の話を聞いてまた興味深そうな顔になった。
「そうしたことにも力を入れたのか」
「はい、それを宣伝して」
「実行に移しました」
 実際にそうしたというのである。
「そうしてその結果としましてです」
「人が多く来るようになったのです」
「給料と待遇か」
 王はここまで話を聞いてこうまとめたのであった。
「要するにだ」
「そうです」
「その二つをよくするとでした」
「人が多く来るようになったのか」 
 王は二人の話を聞いてまた頷いた。そのうえで再び言うのであった。
「兵士についても他の世界と変わらないのだな」
「やはり仕事ですから」
「自然とそうなるようです」
 二人はこうも王に対して述べたのだった。
「昔は市民の義務や誇りと考えられていましたが」
「他には刑罰にも」
「しかし今は違うか」
 王は深い思索と共に言葉を出すようになっていた。
「仕事か。軍人もまた」
「はい、そうです」
「ですから給料と待遇によってです」
「成程な」
「その二つを改善しますと」
「それで来てくれる人材が増えました」
 二人は王にこう話すのであった。
「それによってです」
「八割を超えるだけ集まりました」
「それが大事なのだな」
 王は二人の説明を聞いてしみじみとした声で頷いたのだった。
「給料と待遇か」
「人はそういうもので最も動かされるようです」
「お世辞にも清らかとは言えませんが」
「ああ、それはいい」
 清らかかどうかはいいとする王だった。
「人はそうした一面もある。それでいい」
「左様ですか」
「特に政治の世界はそうだ。要は結果だ」
 そのものだというのである。
「結果さえ出せればいいからな。清らかかどうかはまた別の話だ」
「そう言って頂けると」
 首相が王の今の言葉に頭を垂れて応える。
「こちらとしては有り難いことです」
「兵が集まったのはよいことであるし教訓も見つかった」
 そしてこうも言う王であった。
「人を集めるのにはだ」
「金を待遇」
「その二つなのですね」
「その通りだ。では今後のあらゆることの参考とさせてもらうこととしよう。人はパンと水が美味くなければ来ることはないということをな」
 パンと水がなくては生きてはいけないがそれが美味くないとまたよくはないということであった。そのことを深く理解した王であった。この募兵のことから。
 以後王は人材を集める時にはまず給与と待遇をあげてからにした。そうして優秀な人材を集めていった。それが成功してこの国は強く豊かになった。何につけ
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