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トワノクウ
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第二十九夜 巡らせ文(一)
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「あのピストルだ。付喪神だったろう」
「そうなんですか!?」
「なんだ、気づいてなかったのか。大方、坂守神社の蔵にでもあった妖絡みの品の一つだろうよ。不思議に思わなかったのかい。ホルスターもなく、どこからともなく現れる武器。弾数無制限。何よりあの肉塊を内側から吹き飛ばすほどの威力が、ピストル程度であるわけがない」

 ずきずき。また、潤の死を思い出す。

「あのピストルが出せるかどうかやってごらん」

 くうは右手の甲に集中し、頭に銀の銃身をイメージした。

「………………無理です」
「ふむ。となると単純に死を教えるだけのものか。問題は何故、彼岸人同士でそんな繋がりがあるのかだな。鴇時と篠ノ女にはなかったのに」

 梵天は考え込んでしまう。くうは待ったが、冷えが回ってきて、一つくしゃみをした。

「――まあいい。とにかく帰るよ」



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